公開:2025年10月6日
10分で読めます
AIプラットフォームの種類や機能、そのメリット・デメリットを徹底解説します。
AIプラットフォームとは、人工知能(AI)の開発・運用を行なう際の基盤を提供するシステムのことで、開発や実行に必要な機能やデータがひとつになっています。具体的には、機械学習(ML)や深層学習(ディープラーニング)モデルを構築、開発、評価、実装、実行するための統合テクノロジーです。AIプラットフォームを正しく使えば、手作業でするより、より高速に、より高い精度で開発を進めることができます。
AIプラットフォームはAIの機能を構築し、モデルを訓練・評価し、実用化するまでをトータルでサポートする環境とも言えます。AIを使った開発を行なう際は、まずAIが動作する環境を整え、AIに学習データを読み込んでモデルを構築します。一般的なAI開発アプリケーションの場合、AIプラットフォームを活用することで、AI開発プロセスにおけるモデル開発の工程を簡略化できます。AIプラットフォームに既にAIの動作環境が整っているため、AIを構築する手間が省略できるからです。開発工程の難度が下がれば、AI開発のコストを抑えられます。
AIプラットフォームには、PaaS系の総合型AIプラットフォームと、特化型AIプラットフォームの2種類があります。
PaaS(Platform as a Service)系の統合型AIプラットフォームは、AI開発に必要な環境がすべてクラウドに揃っているサービスです。アプリケーションを稼働するためのネットワーク、ハードウェア、OS、ミドルウェアなどのプラットフォームに加え、膨大な量のデータを学習したAIモデルが用意されています。
特化型AIプラットフォームは、特定の業界や機能に特化したAIプラットフォームです。汎用性は高くありませんが、得意な領域では特定のタスクを効果的に処理できます。つまり、開発できるAIの種類は少なくなりますが、より高精度なAIを効率よく開発できます。
AIプラットフォームには、AI開発をサポートする機能が備わっています。主なAIプラットフォームには以下の機能が含まれます。
AIを優れたものとするには、良質な学習データの収集が欠かせません。AIプラットフォームのデータ収集機能を活用すれば、データを無駄なく効率的に収集できます。
収集したデータは、AIに適した形式に変換・加工しなければなりません。AIプラットフォームの機能を使えば、データの分割や正規化などの処理作業も効率よく進められます。
AIモデルとは、AIでデータを処理するときのパターンのことで、データ解析を行なう方法のひとつです。AIモデルの種類には、「回帰モデル」や「分類モデル」などさまざまな種類があります。AIモデルではまず仮のモデルを構築し、想定しているものが実現可能かどうかを実際のデータを使って検証します。アルゴリズムの選択もこの段階で実施されます。
AIプラットフォームでは、継続的な運用に向けた再学習やデータの見直しを行ないます。最新の学習データやフィードバックを取り込むことで、AIの精度が高まります。再学習には、モデルの再学習、デプロイ、パラメータの調整、監視などが含まれます。
近年、AI(人工知能)の発展は目覚ましく、AIをビジネスで活用したいと考えている企業も増加しています。ただし、AI開発には専門知識が必要で、適切な開発環境も整える必要があります。
AI開発環境とは、AIモデルの設計・開発・テストを行なうためのインフラとツールが整った作業環境を指します。AI開発を進めるには、プログラミングスキルやデータ分析スキルといった専門知識に加え、ハードウェア・ソフトウェアの環境整備が必要です。機械学習(ML)アルゴリズムや深層学習(ディープラーニング)モデル、環境を構築するためのフレームワークやライブラリも不可欠です。
GitLabでは、AI機能を活用してDevSecOps(開発・セキュリティ・運用の統合)を強化しています。GitLab Duoは、現在利用できるAI搭載プラットフォームの中で最も包括的なDevSecOpsプラットフォームです。GitLabは、ソフトウェアの開発、セキュリティ、デプロイなど、DevSecOpsライフサイクル全般にわたってチームをサポートします。 強力なAIを搭載した包括的なDevSecOpsプラットフォームが、コードレビューやテスト自動化の支援、セキュリティ脆弱性の予測や対策の提案、プロジェクト管理の効率化などをサポートするため、イシュー管理、バージョン管理、コードレビュー、継続的インテグレーション / 継続的デリバリ (CI/CD)、モニタリングが、ひとつのアプリケーションで完結します。開発から運用までのプロセスを迅速かつ安全に進められます。
AIプラットフォームを使用するメリットとして、以下が挙げられます。
AIプラットフォームを導入すれば、すべてを自社開発した場合と比べて開発期間が短縮でき、コストを抑えることができます。AIの開発には、サーバーやOSといったさまざまなリソースが必要ですが、AIプラットフォームにはAI開発の基盤となるシステムが備わっているため、ノーコードで開発でき、コーダーなどの人件費も節約できます。それにより、求められる機能を備えたAIを、低コストで効率よく開発できます。
既存の機能や環境、AIモデルを利用することで、システム構築のスピードが上がります。ゼロからシステムを構築する場合、AIが動作できる環境を整え、それからAIに学習データを読み込ませてモデルを構築する工程が必要になりますが、AIプラットフォームを使えば、この工程を省略できます。
AIプラットフォームなら、前述のようにノーコードでAIを導入できる環境が整っているため、プログラミングの知識がなくてもAI開発ができる場合があります。プログラミング言語を習得する必要性が減ってきているのです。GitLab Duoは、コードの理解からセキュリティ脆弱性の修正まで、最適なAIモデルが単一のプラットフォームに統合されています。エンジニアでなくてもAI開発に取り組めるようになります。
GitLabのAIプラットフォームなら、DevSecOpsチームはAI開発を加速できます。このAIプラットフォームは、チームが問題を早期に発見して修正できるよう設計されているため、問題が複雑化する前に対応でき、後から大きなコストがかかる事態を防ぐことができます。
AIをソフトウェア開発プロセスに統合するメリットは数多くありますが、AIプラットフォームにはデメリットもあります。導入を検討する際は、次のような点を考慮する必要があります。
開発や運用に専門知識やスキルが求められる場合がある
AIプラットフォームの中にはコーディングの知識が必要なものもあります。こうした知識や技術が必要になる場合、導入コストが高くなることがあります。
機能確認を怠ると導入に失敗する場合もある
どんなAIを開発したいのか、どのくらいのデータを扱うのかなどを事前に確認せずにAIプラットフォームを選択してしまうと、導入に失敗する恐れがあります。事前調査を怠らず、しっかりと目的に合ったAIプラットフォームを選択しましょう。
データ品質とデータセキュリティの問題
AIプラットフォームを利用する際には、データの品質やセキュリティに関する技術的な課題が生じる場合があります。データの品質ならびにセキュリティ要件を担保するためには、データの検証やクレンジング、アクセス制御の厳格化、プライバシー保護の強化などが求められます。
GitLab Duoなら、AIを活用した機能を利用できるユーザー、プロジェクト、グループを自由に設定できます。また、プロプライエタリコードやデータがAIモデルのトレーニングに使用されることはないため、情報の機密性を保つことができます。
GitLabでは、AIプラットフォームのデメリットを克服するために、データの品質やセキュリティ、ユーザーのプライバシー保護を強化しています。
ソフトウェア開発におけるAIの有効性は、コード生成といった生産性メトリクスだけでなく、コード品質、保守、テスト、セキュリティに対してAIがもたらす影響も考慮して測定すべきです。また、コーディングプロセスにAIを統合することで、ソフトウェアデベロッパーが戦略的タスクにかけられる時間が増え、認知負荷が軽減され、より優れた価値を提供できるようにもなります。
データ品質管理
GitLabでは、データの品質管理に自動データ検証を取り入れ、トレーニングデータや運用データに不正確な情報やバイアスが含まれるリスクを減らし、AIモデルの精度向上を図っています。また、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)の導入により、データの一貫性と品質を維持しています。
セキュリティ対策
GitLabでは、AIモデルとデータのセキュリティ監視を実施し、AIモデルやデータストレージへの脅威をリアルタイムで検出し、リスクに迅速に対応しています。また、データアクセスについては、ユーザーやチームごとにアクセス制御を行ない、内部からのデータ漏えいリスクを軽減しています。
自動化とコラボレーション支援
GitLabのAIツールは、反復的な作業を自動化し、デベロッパーの生産性向上を図ることにより、コラボレーションを促進します。この効率化により、エラーや不整合の発生を抑え、チーム全体でのスムーズな開発体制が可能になります。
GitLabは、上記のような取り組みにより、AIプラットフォームのデメリットを最低限に抑え、デベロッパーにとって安全で信頼性の高い環境を提供しています。
AIは現在、ソフトウェア開発において広く使用されています。この記事では、AIプラットフォームのメリットやデメリットなども採り上げ、問題を認識しつつ、イノベーションが促進される環境作りを担うAIプラットフォームについて解説してきました。専門知識や開発経験があまりなくても、AIプラットフォームを使えば、AIの開発・運用がスムーズに行なえます。
AI開発環境であるAIプラットフォームについて分かりやすく説明してください。 AIプラットフォームとは、人工知能(AI)の開発・運用を行なう際の基盤を提供するシステムのことで、開発や実行に必要な機能やデータがひとつになったものです。具体的には、機械学習(ML)や深層学習(ディープラーニング)モデルを構築、開発、評価、実装、実行するための統合テクノロジーです。
AIプラットフォームには何種類ありますか。
AIプラットフォームには、大きく分けて2つの種類があります。「PaaS系の総合型AIプラットフォーム」と「特化型AIプラットフォーム」です。詳しくは、本記事の「AIプラットフォームの種類」をご覧ください。
AIプラットフォームはどう機能しますか。
AIプラットフォームには、AI開発を支援するための機能がいくつか備わっています。データ収集、データ処理、モデル構築、再学習の4つが主要機能といえます。詳しくは本記事の「AIプラットフォームの主な機能」をご覧ください。