オンライン旅行大手のAgoda社はGitLabを導入してデベロッパーの生産性を向上

シンガポールを拠点とするAgoda社は、31の市場で6,600人以上の従業員を擁しています。同社は、最高クラスの技術を活用して旅行をもっと簡単にすることを目指しています。そのために、Agoda社のソフトウェア開発チームには、迅速に行動し、効率的にコラボレーションを行い、世界中のユーザーが利用するアプリの安全性を保証することが求められます。

GitLabを導入したことで、同社はさまざまなポイントソリューションの統合、コスト削減、セキュリティ対策の強化を実現できました。さらに、モバイルアプリの開発時や、新しい言語のサポート展開時など、デベロッパーの満足度も一貫して向上しました。

GitLabのエンドツーエンドのDevSecOpsプラットフォームに移行する前、Agoda社は少なくとも9つのツールから成る煩雑なツールチェーンに苦労していました。これらのツールを組み合わせて使用し、統合やサポート要件を管理することは、約50人から成る同社の6つのソフトウェアDevOpsチームにとって、時間のかかる課題となっていました。さらに、すべてのツールに精通したチームメンバーがいなかったため、特定のツールに詳しいメンバーが1人や2人不在の場合は、それらの機能を活用できませんでした。

「あるデベロッパーは、日常的にたくさんの異なるツールを使用する必要がありました」と、Agoda社のDevOps & DevSecOpsマネージャーであるNadav Robas氏は説明します。「アップグレードやセキュリティパッチの確認に多くの時間を費やし、すべてのツールに対する多数のサービス品質保証を遵守するのに苦労していました。メンテナンス業務に追われ、本当に悪夢のような日々でした」

Robas氏は、Agoda社の手間のかかるツールチェーンが市場投入やオンボーディングの速度を低下させる原因となっていたこと、また、ガバナンスやコンプライアンスの課題をもたらしていたと述べています。このスピードの低下こそが、ソフトウェア開発や事業全体に影響を及ぼす重大な問題となっていました。

加えてRobas氏は、同社ではコスト削減、ソフトウェア品質の向上、およびセキュリティ強化が望まれていたと話します。

解決すべき問題や見出すべきメリットが山積みの中、Agoda社のテクニカルマネージャーは、これらの課題に対処するにはDevSecOpsプラットフォームが必要であることを認識していました。また、それがGitLabであるということも確信していました。

「DevOpsエンジニアが日常的なメンテナンス作業やアップタイム管理、特定のドメイン知識の習得から解放されることを望んでいました」とRobas氏は話します。「エンジニアが個々のツールに精通する必要はなく、コードを作成して適切にデプロイするためのプロセスなど、重要な側面に集中してほしいと考えていました。これを達成するには包括的なプラットフォームが必要でした」

単一のDevSecOpsプラットフォームの導入を決めたRobas氏率いるチームは、迷うことなくGitLabを選びました。むしろ、それ以外の選択肢はなかったとRobas氏は言います。

Robas氏によると「ほかに検討すべきツールは思い当たりませんでした」ということです。チームはまずはGitLab Premiumを導入し、その後GitLab Ultimateに移行しました。「率直に言って、この業界ではツールの選択肢が限られています。上司に提案することを考えると、それほど知名度がないものもありますし、有名なツールはオンプレミス環境でのメンテナンス作業が大変です。単純に拡張性が不足しており、それらのツールで当社のニーズが満たされる可能性は一切ありませんでした」

GitLabが選ばれたことにより、オンプレミスでの作業を中心とし、Amazon Web ServicesとGoogle Cloud Platformも併用しているAgodaのエンジニアは、GitLabのKubernetes executorを使用して、仮想マシンベースのDocker Machine RunnerをKubernetesに置き換えることができました。GitLabのおかげでこの移行を迅速かつ効率的に進めることができ、最終的には、起動時間の短縮、アップグレードと再構築の高速化、モニタリングプロセスの改善につながったほか、自動修復と自動スケーリングも行えるようになりました。

2年前にGitLabの導入を開始して以来、Agodaはいくつかのツールを完全にGitLabに置き換えました。現在は、残りのセキュリティツールをGitLabに置き換える作業を進めています。Robas氏は次のように話します。「GitLabへの移行には大きな利点があると考えています。GitLabのおかげで、生産性とデベロッパーの満足度を大幅に向上させることができます」

当初は、過去に使用していた馴染みのあるツールからの移行について、デベロッパーから反発があるかもしれないとRobas氏は考えていたため、不安に感じていたそうです。しかし、社内で四半期ごとに実施されるツールの満足度に焦点を当てた従業員アンケートによって、Robas氏の懸念が的外れであったことが証明されました。DevSecOpsチームがGitLabについてある程度理解し始めると、すぐに満足度スコアが上昇しました。現在、まだ導入プロセスは完了していないにもかかわらず、GitLabはAgoda社が使用するすべてのツールの中で2番目に高いスコアを誇っています。

Robas氏は、「優れた製品であることはわかっていたものの、最初は不安でした」と付け加えます。「GitLabは本当に人気です。デベロッパーたちが気に入っているのがよくわかります。当初の目標はデベロッパーの幸福度を向上させることであり、それは達成されました。GitLabは5段階評価で4以上のスコアを獲得しています。これは本当に素晴らしいスコアです。何といっても、評価したのは鋭い目を持った技術者たちですから」

Robas氏によると、Agodaはデベロッパー満足度を向上させただけでなく、ツールチェーンを削減することで、ライセンス料、サポート費用、およびメンテナンス費用を年間でかなり節約できているそうです。

Agoda社は、GitLabの単一アプリケーションを活用して、開発サイクルの初期段階でセキュリティポリシーを実装および実施できるようにしました。セキュリティ機能を単一のプラットフォームに統合して管理することで、セキュリティツールの氾濫によって生じていた煩雑さ、費用、およびミスステップが排除されました。

「コスト削減だけで見ても、その影響はかなり大きく、非常に費用対効果に優れています」とRobas氏は説明します。「プラットフォームのセキュリティ機能は効率的で、求めていたものすべてに対応しています。ついに、ガバナンス、コンプライアンス、セキュリティ監査に関する信頼できる唯一の情報源を手に入れました。アーティファクトからコードのコミットに至るプロセスでトレーサビリティも確保できます」

「GitLabのおかげで、デベロッパーに統合されたインターフェイスを提供し、複数のツール間を行き来する必要がなく、ソフトウェア開発ライフサイクルのすべての段階をシームレスに監視できるようになりました」とRobas氏は話します。「当初の目標は、すべてのサービスを1つのプラットフォームに集約することでしたが、それは実現しました。生産性および安全性が向上し、さらにデベロッパーの体験も向上しました」

今後、Agoda社はGitLabのDevSecOpsプラットフォーム内の人工知能（AI）機能を活用して、ソフトウェア開発とセキュリティの実践を向上させる準備をしています。

「GitLabのビジョンに沿った、コーディングだけに留まらない、ソフトウェア開発ライフサイクル全体にわたるAIアシスト機能を楽しみにしています」とRobas氏は述べ、GitLabのAI機能のデモを実施したことについて言及しました。「販売されている他のDevOps AIツールを試してみたところ、コーディング速度が向上したものの、品質は必ずしも向上していませんでした。今後GitLabが打ち出すソリューションを非常に楽しみにしています。Agoda社での実装を心から楽しみにしています」

Robas氏はまた、同社がツールチェーンの統合をさらに進め、GitLabのプラットフォーム内の分析機能を活用しようとしていることについても触れました。それに加えて、同氏は独自の開発環境を構築する機能をデベロッパーに提供することを心待ちにしています。このアプローチにより、デベロッパーの作業体験が向上し、高品質なコードをより速く作成できるようになると考えているそうです。