公開:2026年8月6日

13分で読めます

イテレーションとは?意味や進め方、おすすめの支援ツールを紹介

イテレーションとは、アジャイル開発における「反復」を意味する開発単位です。本記事では、イテレーションの意味やスプリントとの違い、具体的な進め方、成功のポイントをわかりやすく解説します。アジャイル開発を支援するツールもあわせて紹介します。

ソフトウェア開発プロジェクトにおいてアジャイル開発の採用を検討している中で、「イテレーション」という言葉を見聞きし、その言葉の意味を詳しく知りたいと考えている担当者も多いのではないでしょうか。

アジャイル開発を成功に導く上では、「イテレーションをうまく回せるかどうか」が重要なポイントの一つになります。

この記事では、イテレーションの意味やメリット、進め方などを詳しく解説します。アジャイル開発を支援するおすすめのツールも紹介するので、ぜひ参考にして下さい。

1. イテレーションの意味とは

イテレーションの意味とは

イテレーション(iteration)は、「反復」や「繰り返し」を意味し、ソフトウェア開発において「設計・開発・テスト・リリース・改善」といった一連の工程を、短期間で繰り返す開発単位のことです。各イテレーションでは、実際に使用可能な成果物の完成を目指し、レビューや改善活動を行います。

このイテレーションを適切に回すことで、開発プロセスの中で早期の課題発見や、柔軟なニーズ対応などが可能になります。

2. アジャイル開発とイテレーションの関係性

アジャイル開発とイテレーションの関係性

アジャイル開発は、ソフトウェア開発手法の一つで、機能を小さく分割した上で機能単位ごとに短期間のサイクル(イテレーション)を回しながら開発を進めます。つまり、イテレーションはアジャイル開発の中で採用される概念であり、両者は切り離せない関係性となります。

アジャイル開発はソフトウェア開発手法であり、イテレーションはアジャイル開発を実現するための中心的な役割として機能する概念と理解しておくとよいでしょう。

イテレーションを深く理解するためには、アジャイル開発の基礎知識も網羅しておくことが大切です。以下の記事でアジャイル開発について詳しく解説しているので、あわせて参考にして下さい。

アジャイル開発とは?意味や進め方、DevSecOpsとの関係性を解説

3. イテレーションとスプリントとの違い

3. イテレーションとスプリントとの違い

アジャイル開発においてイテレーションの他によく使用される言葉として「スプリント」があります。

結論、イテレーションとスプリントは、ほぼ同じ意味で使用される言葉であり、両者ともアジャイル開発における短期間の開発サイクルを指します。

細かな違いとしてはその言葉が使用されるシーン・文脈にあります。イテレーションはアジャイル全般で使われることが多く、主にエクストリームプログラミング(XP)で採用される言葉です。一方、スプリントは、「スクラム」と呼ばれるアジャイル開発のフレームワークの文脈で使われるケースが多い言葉になります。

4. イテレーションが使用されるエクストリームプログラミング (XP) とは

イテレーションが使用されるエクストリームプログラミング (XP) とは

ここでは、イテレーションが使用されるエクストリームプログラミング (XP) の特徴やスクラムとの違いについて詳しく解説します。

4-1. エクストリームプログラミングの概要・5つの価値

エクストリームプログラミングとは、仕様変更が頻繁に発生することを前提として、変化する顧客のニーズへの対応力を高めながらプロダクトの品質向上を目指すアジャイル開発手法になります。

1990年代にケント・ベック氏らによって提唱され、エクストリームプログラミングでは重視すべき要素として以下の5つの価値を取り上げています。

5つの価値詳細
コミュニケーション・プロジェクト失敗の原因はコミュニケーション不足にあることが多い ・そのため、開発メンバーだけでなく顧客とのコミュニケーションも重要視する
シンプル・現時点で本当に必要な機能・設計を意識する ・オーバーエンジニアリングを避ける
フィードバック・顧客からのフィードバックを受け取り、プロダクトに反映する ・フィードバックは頻繁かつ早期に受け取る
勇気・仕様の大幅な変更などに対して恐れずに前向きに対応する ・恐れを克服することで、開発におけるさまざまな壁を乗り越えられる
尊重・顧客を含め全ての関係者の意見や姿勢を尊重する ・経験やスキルに左右されず対等な関係性を築く

4-2. エクストリームプログラミングとスクラムとの違い

スクラムとは、最大10人程度の少人数のチームで短期間のサイクル(スプリント)を繰り返しながら、プロダクトの完成を目指すアジャイル開発のフレームワークです。

エクストリームプログラミングとスクラムはどちらもアジャイル開発手法ではありますが、主に重視する要素に違いがあります。エクストリームプログラミングは、テスト駆動開発やペアプログラミングなどの技術的な手法を重視しているのに対して、スクラムはデイリースクラムやレトロスペクティブなどのイベントを通したチーム内でのコミュニケーションや、プロジェクト管理に焦点が当てられています。

5. イテレーションの目的とメリット

イテレーションの目的とメリット

次はイテレーションの具体的な目的やメリットについて解説していきます。

  • 顧客ニーズに対して柔軟な対応ができる
  • 手戻りやミスの軽減に繋がる
  • プロダクトの価値向上やチームの成長に繋がる

5-1. 顧客ニーズに対して柔軟な対応ができる

短期間の開発サイクルを繰り返し、顧客のフィードバックを受けながら開発を進めることで、顧客のニーズを満たした品質の高いソフトウェア開発を実現できます。これにより顧客満足度の向上にも繋げられるでしょう。

短いスパンで顧客からのフィードバックを受けられるため、変化が激しい市場ニーズへの対応も柔軟に行うことが可能です。つまり、ニーズが漠然としているプロジェクトや、最初から仕様変更が予想されるケースでは、アジャイル開発でイテレーションを回しながら作業を進めると対応がスムーズに運びます。

5-2. 手戻りやミスの軽減に繋がる

イテレーションは、通常1~4週間の短い期間で開発からテストまで実施するため、途中問題が発生しても大きな手戻りがなく、早い段階で対応できるメリットがあります。各イテレーション内で問題への対応が完了するため、プロジェクト全体への影響も最小限に抑えられます。

また、イテレーションを繰り返す中で、開発メンバーや顧客など関係者全員が密なコミュニケーションや振り返りを積み上げることで、、認識のズレがなくなり、大きなミスやトラブルの予防、プロセスの改善による効率化に繋げることができます。

5-3. プロダクトの価値向上やチームの成長に繋がる

1つのイテレーションが完了すると、そのまま次のイテレーションに進むのではなく、振り返りが行われます。今回のイテレーションで障害になったことや課題点を洗い出し、次のイテレーションに向けて改善策を検討することでプロダクト品質の向上を図れます。

また、イテレーションごとにチームがリアルタイムに課題に向き合うことでメンバー全員が現状を把握でき、自らの役割を主体的に判断して動けるようになります。

6. イテレーションの進め方

イテレーションの進め方

実際にイテレーションはどのような流れで進めるのでしょうか。ここでは、具体的な進め方について解説します。

  1. イテレーションごとの要件・計画を策定する
  2. 要件・計画をもとに開発を進める
  3. 成果物のレビュー・テストを行う
  4. 振り返りと次のイテレーションの計画

6-1. 1.イテレーションごとの要件・計画を策定する

まずは、イテレーション内で「何をやるか(何を開発するか)」「なぜそれをやるのか」を決め、具体的な目標やタスクに落とし込みます。

その際ポイントになるのが、作業を進める中で急な市場ニーズの変化に対応できるよう、取り組むべき価値のある必要最小限の要件に絞り込むことです。

また、各イテレーションの計画を立てる際には、顧客の要望も積極的に取り入れ、関係者全体で認識の擦り合わせを行った上で共通理解をつくっておくことも大切です。

6-2. 2.要件・計画をもとに開発を進める

イテレーションの計画に基づいて、実際に開発を進めていきます。その際、顧客とコミュニケーションを取りやすい体制を構築し、仕様の詳細化のやり取りや情報共有を行いながらプロジェクトを進めることが重要なポイントです。

例えば、チャットツールでプロジェクト専用のチャンネルを作成し、顧客と開発チームがいつでも直接やり取りできるような環境を構築して情報共有を行うといった方法が挙げられます。

6-3. 3.成果物のレビュー・テストを行う

イテレーション内での開発が終了したら、成果物のレビュー・テストを実施します。完成したプロダクトにおいて「正しく動作するのか」「顧客のニーズを満たした仕様になっているか」などの事項を関係者全員で確認し、改善点や課題点を洗い出します。

ここで実施するレビューやテストの内容は、次回のイテレーションに反映する必要があるため、顧客からのフィードバックを漏れなく拾い上げるなど丁寧に進める意識を持つことが大切です。

6-4. 4.振り返りと次のイテレーションの計画

イテレーションの最後には、振り返りを実施します。ここでの振り返りは、チーム連携の強化やプロジェクトの進捗管理などを目的として行います。

振り返りの際には、以下のような手法を活用しながら、現状を分析すると良いでしょう。

手法目的
KPT「Keep(継続)」「Problem(問題)」「Try(挑戦)」の3つの要素を用いて、チームの現状を分析する
OKRチームが達成すべき目標と、目標のマイルストーンを設定し進捗を管理する

振り返りが終われば、これまでの顧客の要望や外部環境の変化も踏まえて改善策を改めて整理し、次のイテレーションに進みます。

7. イテレーションを成功させるためのポイント

イテレーションを成功させるためのポイント

イテレーションを成功させるためには、以下のようなポイントを意識することが大切です。

  • 適切な期間と現実的な計画を立てる
  • チーム内でのコミュニケーションを活性化させる
  • 開発プロセスを自動化できるツールを活用する

7-1. 適切な期間と現実的な計画を立てる

イテレーションの期間は、チームメンバーの経験やスキル、顧客のニーズなどを踏まえて適切な期間を設定することが大切です。

期間が極端に短すぎるとメンバーの負担が大きくなり、反対に長すぎると問題発生時に大きな手戻りが発生したり、顧客からのフィードバックが遅れるなどイテレーションのメリットを享受できなくなります。

メンバーの負担を軽減し、スムーズに開発を進めるには、各イテレーションの開発量を偏りなく均等に配分した上で無理のない期間設定を行います。そうすることで、一定の開発ペースを保てるようになり、安定した運用を実現できるでしょう。また、一度設定した期間は、基本的に変えないことがポイントです。期間を固定化することでベロシティ(一定期間にチームがどれだけの仕事(作業量)をこなせたかを示す数字)を明らかにし、生産性の改善にも活用することができます。

7-2. チーム内でのコミュニケーションを活性化させる

イテレーションをうまく回していくためには、メンバーや顧客を含めた関係者全員での密なコミュニケーションが欠かせません。

開発途中で発生した課題や日々の進捗、顧客からの要望などプロジェクトにおける情報を共有し合える体制を構築することで、短期間のサイクルの中で問題の早期発見・改善に繋げられます。

状況共有を行うために、オンサイト顧客や集団的コードオーナーシップ、ペアプログラミングなどのプラクティスが存在しますが、よりチームでの情報共有を円滑に行うためにDaily Stand-Upなどを実施することも増えています。

7-3. 開発プロセスを自動化できるツールを活用する

アジャイル開発では短期間のサイクルを繰り返します。つまり、その特性によって繰り返し作業の量が相対的に増加するため、CI/CDなどの自動化を進めることが必須となります。

面倒な繰り返しの手作業は無駄なミスや精神的な負担を生み出すケースもあるため、自動化できるプロセスは積極的にツール活用で実現していきましょう。

イテレーション内で自動化できる作業の対象としては以下が挙げられます。

  • ビルドやテスト、デプロイ
  • データ入力
  • コードレビュー
  • プロジェクト管理 など

8. イテレーションを成功に導く開発ツールの選び方

イテレーションを成功に導く開発ツールの選び方

開発を支援するツールはさまざまな種類がありますが、イテレーション内での作業を自動化し、開発の迅速化や品質の向上を実現するなら、CI/CDや開発情報の可視化・共有、セキュリティ強化などを実現できるツールを選ぶと良いでしょう。

ただし、一度にたくさんのツールを導入してしまうとチーム内での混乱や不適切な管理を招く恐れがあるため、多機能のオールインワンプラットフォームを検討するのもおすすめです。

開発ツールには無料トライアルを設けているサービスも多いため、まずは小さく試験的に導入してみましょう。

9. GitLabならアジャイル開発の実践からDevSecOpsまで一元化できる

GitLabならアジャイル開発の実践からDevSecOpsまで一元化できる

イテレーションを効率よく回し、プロジェクトを成功に導くなら「GitLab」の活用がおすすめです。GitLabなら、アジャイル開発の実践からDevSecOpsまで一元化することが可能です。

9-1. GitLabとは

GitLabは、ソフトウェア開発ライフサイクルに必要な機能を単一のプラットフォームで活用できるDevSecOpsプラットフォームです。

多機能を搭載したGitLabを活用することで、複数のツールを使い分けて管理する必要がなくなり、開発者の負担を軽減できます。

提供形態にはSaaS版とSelf-Managed版の2種類があり、無料トライアルやドキュメント、サポート体制もご用意しているので、お気軽にお試しいただけます。

9-2. GitLabがアジャイル開発を支援する理由

GitLabはアジャイル開発と親和性が高く、開発を支援する「ソースコード管理」「プロジェクト管理」「CI/CD」「セキュリティ」など多様な機能を搭載しています。

例えば、GitLabの「イテレーション機能」を使用することで、チームはイテレーションのスケジュール全体を可視化でき、進捗を確認しながら開発を進められます。

その他、GitLab CI/CDによってビルド、テスト、デプロイといった一連の工程を自動化できるため、アジャイル開発の価値を最大化しながら品質の高いプロダクト開発を実現することが可能です。

9-3. GitLab活用事例

GitLab活用事例として、Airwallex社を紹介します。Airwallex社は、グローバルな金融プラットフォームを提供する企業で、2022年に大手航空会社を自社の顧客として迎え入れるチャンスがありました。しかし、その案件では顧客のニーズに応えるために、競合他社よりも優れたソフトウェア機能を迅速に提供する必要がありました。

そこでDevSecOpsプラットフォームのGitLabを導入し、厳しい期限がある中で迅速な反復を繰り返すことで、多数の機能開発を成功に導いたのです。Airwallex社では、GitLab活用により、チーム間のコラボレーションやコスト効率の向上も実現しています。

本事例の詳細は以下の記事をご覧下さい。

グローバルなフィンテック企業Airwallex社が、GitLabによって顧客のニーズにより迅速に対応

10. イテレーションに関するQ&A

最後にイテレーションに関するよくある質問と回答を紹介します。

10-1. イテレーションとウォーターフォール開発の違いは?

イテレーションは、アジャイル開発で使われる短期間の開発単位を指します。イテレーションを繰り返しながら開発を進めることで、仕様変更にも対応しやすいメリットがあります。

一方、ウォーターフォール開発は要件定義から開発、テストといった一連の工程において、事前に細かな計画を立てた上で開発を進める手法です。アジャイル開発とは異なり、要件が明確でかつ、納期厳守を求められるような案件に向いています。

10-2. イテレーションがうまく回らない原因は?

アジャイル開発においてイテレーションがうまく回らないケースも発生します。考えられる原因は以下の通りです。

  • イテレーションの目的が「タスクの完了」になっており、「動くプロダクト」が完成しない
  • イテレーションの期間設定が不適切で開発ペースが乱れる
  • メンバー同士のコミュニケーション不足による認識のズレが生じる
  • 自動化できる作業が手作業のままになっている など

イテレーションが失敗してしまう時には、原因を特定し適切な対策を検討することが大切です。例えば、開発サイクルの中で手作業が多い場合、無駄なコストが発生するためうまくイテレーションが回らないでしょう。その場合は、「GitLab」のような開発ツールを積極的に活用すると良いでしょう。

10-3. イテレーション中に仕様変更があった場合はどうすればいい?

イテレーション中に顧客から新たな要望を受けるなど仕様変更が生じた場合は、基本的に対応は次のイテレーションで行います。現在のイテレーション内でその都度対応していると、開発ペースが乱れてしまうからです。

なお、セキュリティ上の重大なリスクがあるなど緊急性が高い問題が発生した場合は、作業の優先順位を調整しチーム全体で擦り合わせを行った上で、現在のイテレーション内での対応を検討します。

まとめ イテレーションをうまく回してアジャイル開発を成功させよう

イテレーションはアジャイル開発における中心的な位置付けとして使われる概念であるため、イテレーションの進め方やポイントについては事前に理解しておくことが大切です。

イテレーションをうまく回すためには、関係者同士のコミュケーションの活性化や開発ツールの導入などを実施しましょう。開発ツールの導入においては、複数のツールを導入してしまうと管理の手間やコストが発生するため、多機能を搭載したプラットフォームの活用がおすすめです。イテレーションをうまく回すことで、開発のリズムを作り、効率的かつ安定的な開発を行うことが可能です。

GitLabは、ソフトウェア開発ライフサイクルに必要な機能を搭載しており、貴社のアジャイル開発やDevSecOpsの実現を支援します。アジャイル開発を成功に導きたいと考えているなら、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。

お問い合わせはこちら


監修:米沢 弘樹 @hyonezawa
(GitLab合同会社ソリューションアーキテクト本部シニアソリューションアーキテクト)

ご意見をお寄せください

このブログ記事を楽しんでいただけましたか?ご質問やフィードバックがあればお知らせください。GitLabコミュニティフォーラムで新しいトピックを作成してあなたの声を届けましょう。

フィードバックを共有する

今すぐ開発をスピードアップ

DevSecOpsに特化したインテリジェントオーケストレーションプラットフォームで実現できることをご確認ください。