ドイツテレコムがGitLab UltimateでDevSecOpsの変革を推進
GitLab Ultimateがチームにもたらすメリットについて知りたいですか
ドイツテレコム社はGitLabを使用して、同社のデベロッパー向けに信頼できる唯一の情報源を作成し、生産性の向上、セキュリティの強化、市場投入までの時間短縮を実現。
ヨーロッパの大手通信会社である同社は、セキュリティを犠牲にすることなくコラボレーションを促進し、非効率性を排除するべく、GitLab DevSecOpsプラットフォームを採用しました。
ドイツテレコム社:大手通信会社
ドイツの通信会社であるドイツテレコムAG社は、世界を代表する総合電気通信会社でもあり、50か国以上で2億4,000万人以上の携帯電話顧客を抱え、2,600万の固定ネットワーク回線、および2,200万のブロードバンド回線にサービスを提供しています。従来の電話会社という旧式の業種に取り組み、事業のあらゆる側面をデジタル化する同社は、「電気通信サービスを販売するソフトウェア会社」という新たなタイプのサービス会社の代表です。
GitLab Premiumで効率性を向上させ、市場投入までの時間を短縮
ヨーロッパの大手通信会社であるドイツテレコム社は、ソフトウェア開発ライフサイクルの効率化におけるDevOpsの重要性を理解しています。「DevOpsはもちろんツールだけでなく、マインドセットやカルチャー、そしてコラボレーションの方法でもあります」とテレコムIT、CI/CDハブのビジネスオーナーであるThorsten Bastian氏は話します。DevOpsの開発手法は、ソフトウェア開発の効率化、手動タスクの削減、サイロ化の解消、コラボレーションと生産性の向上、および市場投入までの時間の短縮に向けた同社の取り組みの土台となっています。
しかし、それは一夜にして実現できたことではありませんでした。同社はウォーターフォール型手法からアジャイル開発手法へと移行していたため、同社内のさまざまなソフトウェア開発チームは数年間かけて自動化、継続的インテグレーションとデリバリー(CI/CD)の活用方法を検討していたものの、当初その導入には一貫性がありませんでした。各チームが自動化に向けて異なるツールを使用していたため、コードの共有やコラボレーション時に有効な信頼できる唯一の情報源が無かったのです。
ドイツテレコム社のITシステムの設計、開発、運営を担う部門であるテレコムITは、デベロッパーがコードを共有し、自動化とCI/CD用の共通の機能セットを利用できる集中型プラットフォームの必要性を感じていました。「開発プロセス全体の中でも革新的な部分において、特に複雑な作業に完璧に集中できるように、手動でのタスクを減らす必要がありました」とBastian氏は言います。
テレコム ITの(GitLab上に構築された)CI/CDツールスイートのプロダクトマネージャーであるNorman Stamnitz氏は、ユーザー主導による選定プロセスにより、最終的にGitLabの採用が決まったと述べています。「DevOpsとアジャイル手法全体の一環として、この決定をトップダウンでは行いたくなかったんです」とStamnitz氏は言います。「実際に利用する人たち自身が納得できるプラットフォームを選んでほしいと考えていました。その結果、GitLabに決まりました」Stamnitz氏が率いるチームは、優先サポートなどのエンタープライズレベルの機能を利用したいと考えていたため、GitLabのPremiumプランをまずは採用しました。
テレコム ITは、ドイツテレコム社内のすべてのデベロッパーやDevOpsエンジニアがGitLabを使用できるようにすることを優先事項としました。CI/CDツールスイートには、専用のアカウントに登録したり、複雑な注文フォームに記入したりしなくても、あらゆる種類のノートパソコンからアクセスできるようにする必要がありました。「システムの稼働開始後、社内コミュニティには少しだけしか宣伝しなかったのですが、その後は自然と広まりました」とStamnitz氏は言います。「ITガバナンスといった要件を課すこともなかったものの、非常に短期間のうちにプラットフォームのユーザー数は1,000人を超えました。GitLabを中核とするCI/CDツールスイートは、口コミを通じて、まるで山火事のように広がりました」
そして、GitLabに移行したのは、テレコム ITのプロジェクトやユーザーだけではありませんでした。同社のほかのIT部門も、(すでにGitLabが使用されているものもあれば、ほかのツールを使用しているものもあった)独自のCI/CDシステムの利用を止め、テレコム ITの中心となるGitLab Premiumインスタンスに移行することを決めました。
2年半経った現在、テレコムITのGitLabのアクティブユーザー数は全社で13,000人を超え、社内のアジャイルプログラムの約75%がテレコムITのCI/CDツールスイートを使用しています。Stamnitz氏によると、ユーザーからのフィードバックは驚くほどポジティブなものばかりだそうです。「ユーザーからは、このプラットフォームが提供され、自分たちでメンテナンスする必要もなく、普通に利用でき、動作していることにとても感謝しているという声が寄せられています。デベロッパーの利用体験はかなりよいと思います」
このようにデベロッパーの利用体験を改善できたのは、組織内でコードと知識を共有する文化である「インナーソース」へと移行したことも一因です。「GitLab Premiumを購入する前は、社内のさまざまな部門間で簡単にコードを共有できる方法がなかなか見つからず苦労していました。もちろん、GitやSubversionなどのさまざまなコードリポジトリはあったものの、コード共有は常に頭痛の種だったんです」とStamnitz氏は言います。「『これは今までに何百回も開発さているはずなのに、そのソースコードにアクセスできない』と文句を言っていた人たちがたくさんいたものですが、GitLabを中核としてインストールしたことで変わりました。今では、ほぼすべてのソースコードが同じプラットフォーム上でホスティングされているためです。誰でも閲覧でき、参加できるんです」
GitLab Ultimateによってセキュリティをシフトレフト
GitLab Premiumを導入してから2年後、テレコムITは、ソフトウェア開発ライフサイクルの中で、手動によるタスクとボトルネックが残っている部分の調査を開始しました。特に目立ったのはセキュリティに関するものでした。
「セキュリティとコンプライアンスの機能をすべてひとつのセキュリティダッシュボードにまとめたいと考えていたため、GitLab Ultimateに拡張することにしました」とStamnitz氏は言います。「手作業によるセキュリティプロセスを減らし、本番稼働前にすべてのセキュリティスキャンを行うことができれば、市場投入までの時間をさらに短縮できます。「あと、もちろんシフトレフトしたいと思っていました。デベロッパーが、日常業務の一環としてセキュリティスキャナーを使用できるようにしたいと考えていました」
「セキュリティ機能に関しては、もちろん大きなメリットです」とBastian氏は述べています。「セキュリティ機能をひとつのアプリケーションに統合できれば、調査結果に関するレポートをプロジェクト宛に送る代わりに、すぐに適切な箇所を確認して問題を解決できます。おかげで、セキュリティ上の問題の処理効率が上がりました」
GitLabとの提携
テレコムITはGitLabという信頼できるテクノロジーパートナーを見つけることができたため、GitLabを全社的な標準ソフトウェア開発プラットフォームにすることを計画しています。この長期にわたる戦略的パートナーシップの一環として、テレコムITはGitLabプラットフォームの主要なコントリビューターとなり、機能リクエストやオープンベータプログラムを通じてGitLab製品チームと緊密に連携しています。
「新機能の実装を求める機能リクエストを数件提出し、GitLabへの小規模なコントリビュートをいくつかしました」とStamnitz氏は言います。「総じて、とてもスムーズに進んでいます。コントリビュートしたことは、その次のリリースに含まれています。全体的にGitLabチームは、問題をすばやく解決できるようサポートしてくれています」
また、ドイツテレコム社のデベロッパーも、毎月22日にリリースを行うGitLabの高速なリリーススケジュールを高く評価しています。テレコムITでは通常、全社からのニーズが高いため、リリースから1〜2日以内にGitLabのアップデートをインストールしています。「GitLabの新機能がリリースされたことを知った人たちからは、いつインストールする予定かとすぐに訊かれるんですよ」とStamnitz氏は言います。
より協力的な文化を構築できたことで、ドイツテレコム社のソフトウェア開発チームは、これまでと同じ人数ながら、より多くのソフトウェアを、さらに迅速に作成できるようになりました。「以前は、GitLabを使用している人もいたものの、GitHub Actionsを使用している人もいれば、Jenkinsやほかのツールを使用している人もいました。それぞれ異なるツールを使っていたんです」とStamnitz氏は付け加えます。「今では、誰もが同じプラットフォームを使用しています。以前よりも、作業を上手く進められていると思います。そしてより迅速に行えています」
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