国際的な大手小売業のBol社がGitLabを利用して、どのように開発効率化とソフトウェア規制遵守を実現しているのかご紹介します。
GitLab Ultimateプランを利用しているBol社は、オランダとベルギーにおける最大級のオンライン小売業(EC会社)です。同社のマーケットプレイスでは、5万ものパートナーが商品を販売しており、商品ラインナップ数は3,800万点に上ります。同社は革新的なテクノロジーを利用することで開発効率を向上させ、めまぐるしく変化するソフトウェアのコンプライアンス規制を遵守し、広範な顧客基盤からの信頼を維持しています。
BolがGitLabによってコンプライアンス管理に成功した事例
Bol社はGitLabのDevSecOpsプラットフォームを自社チームに導入し、デベロッパーが迅速かつ安全にプロジェクトを完了できるようにすると同時に、手動で行っていたコンプライアンスチェックにかかる工数を数千時間から大幅に削減しました。
Bol社の収益が増加するにつれて、同社が遵守しなければならないコンプライアンスルールや規制も増加しました。一般データ保護規則 (GDPR)や国際標準化機構 (ISO)の要件、EU人工知能法など、厳格で頻繁に更新される規制に準拠するためには、ソフトウェアを継続的に適応させる必要があります。
Bol社のCI/CD開発チームエンジニアリングマネージャであるGuus Houtzager氏は、次のように述べています。
「GitLabは、当社が成長し、ソフトウェアとデベロッパーが順守すべき要件が増大する中で、柔軟性と競争力の維持に大きく貢献しています。私たちが抱えていたこれら最大の課題に対し、GitLabを活用することで解決を図りました。」
Bol社は2016年にGitLabコミュニティに参入し、その数年後にGitLab Premiumを導入、2024年にはGitLab Ultimateにアップグレードしました。これにより、コンプライアンスの負荷増に対応するとともに、チームがより迅速かつ効率的にプロジェクトに取り組むことができる基盤を作り上げてきました。
毎月数千時間の開発時間の節約
GitLabを活用することで、Bol社のDevSecOpsチームはコンプライアンス設定とチェックを自動化するポリシーを設定できます。これにより、コンプライアンスへの取り組みに関する一貫性と拡張性を実現し、人為的エラーによるリスクを軽減できます。コンプライアンスのガードレールが設定されたことで、850人の開発者チームは革新的で安全なソフトウェアの開発により多くのエネルギーを注ぐことができます。
Houtzager氏は、次のように語りました。
「GitLab Ultimateを導入したことで、初めからコンプライアンス規制の範囲内で仕事ができるという強制的なコンプライアンスパイプラインを作ることができます。これにより、デベロッパーの作業時間を月間で数千時間ほど節約できました。」
デベロッパーがコンプライアンス規制の負担を気にする必要がなくなり、コーディングに集中できるようになったことで、Bol開発チームの効率は飛躍的に向上しました。時間の節約だけでなく、チームは将来のコンプライアンス規制にも対応できると自信を持つようになりました。
Houtzager氏はさらに続けます。
「私たちは、GitLabがコンプライアンスとソフトウェアセキュリティの両方に役立つことを信じています。GitLabには新しい規制に従って構築できるツールキットがあります。将来のことは誰にもわかりませんが、たとえ新しい規制が増えたとしても、GitLabであればどのような事態にも対処できると考えています。」
顧客と事業を守るためのシフトレフト
ヨーロッパ小売業界大手の1つであるBol社にとって、「信頼」はビジネスモデルの重要な柱です。同社は住所や注文明細など大量の個人データを取り扱っています。規制による罰金が懸念される一方で、、顧客からの信頼維持も重要な課題です。セキュリティの重要性は言うまでもありません。
Houtzager氏は次のように述べました。
「オランダやベルギーのほとんどの住民が、これまでにBol社での購買経験があり、私たちを信頼してくれています。彼らは弊社が顧客の支払い情報を適切に扱うと信じています。弊社がお客様の個人識別情報(PIIデータ)を販売したりせず、データを安全に保管していると信じています。」
顧客データとビジネスを保護するために、Bol社はシフトレフトセキュリティを導入し、デベロッパーが開発プロセスの早い段階でエラーや脆弱性を発見できるようにしました。しかし、適切なツールを使用せずにシフトレフトすると、発見した問題を修正するためにデベロッパーが膨大な時間を費やすことになる可能性があります。
Houtzager氏はシフトレフトの実施について、次のように説明を加えました。
「チームが作業を効率的に実行できるようにするツールやサポート、プロセスを提供しないままでシフトレフトすると、チームは手順や手作業において困難を抱えます。」
GitLab Ultimateを利用すれば、同社のセキュリティ要件を満たすレイアウトや権限モデルを設定できるため、デベロッパーは顧客とビジネスデータを保護しながら、プロジェクトを迅速に立ち上げリリースできます。また、DevSecOpsプラットフォームには、デベロッパーが行った変更や修正を追跡し、コンプライアンスレコードに記録するという機能もあります。
AIとともに見据える未来
Bol社は今後、クラウド統合や人工知能 (AI) 機能、セキュリティ機能など、GitLab Ultimateをさらに活用していく予定です。
同社は、AI機能が搭載されたGitLab Duoがソフトウェア開発のスケールアップを支援してくれると期待しています。GitLab Duoは、安全ななソフトウェアの迅速な構築からデベロッパーエクスペリエンスの向上まで幅広く貢献します。
Houtzager氏は、AIの可能性と利用条件について、次のように述べています。
「私たちがAIを使うには、状況が整っている必要があります。そして、AIがどのように役立つかを必ず検討します。他の企業の皆さんと同じように、ソフトウェア開発のライフサイクル全体を見通しながら、AIによって改善できる箇所を探しています。例えば、コード作成の場面や一連のプロセスの他の場面で、どのようにAIを活用できるかなどを常に考えています。」
GitLabのさらなる魅力については、 GitLabを選ぶ10の理由をご覧ください。