目次
- Gitとは何か?
- Gitの意味
- Gitは何に使われている?
- Gitの利点とは?
- Gitの何がすごい?
- 組織がGitを使ってできること
- Gitの用語と使い方の初心者向け解説
- Gitの弱点は?
- Gitの管理はツールで手軽に
- まとめ
Git(ギット)という言葉をエンジニアや開発者が口にするのを耳にしたことがある方は多いはずです。プロジェクトを走らせながらツールやサービスの改善を行うアジャイル手法が基本の今、業務効率化のためにGitを使用するのは当たり前となってきました。ただ、IT関連企業だったとしても、マネジメントやオペレーション部門などで働く非エンジニアや初心者は、Gitとは何か、なぜ世界で広く使われているのか、その理由を明確には理解していないかもしれません。
しかし、Gitは開発部門だけではなく、チーム内の複数のメンバーが同時に作業を行う場合(たとえば人事部門で社外の専門家に相談しながら社則の見直しと刷新を行う、デザイン部門でブランドロゴのデザインを行うなど)にも、とても便利なツールです。また、プロジェクトの大きさや用途によっては、ノーコスト/ローコストで導入をお試しできる点も見逃せません。
この記事では、初めてGitに触れる方のために、Gitとは何か、組織にとってどんな利点があるのかを詳しく解説していきます。
Gitとは何か?
Gitとは、分散型バージョン管理システムで、ファイルのバージョン管理が簡単にできるツールです。「文書作成アプリケーションでも変更履歴を保存して表示できるし、それとどう違う?」「分散型バージョン管理システムっていったい何?」といった疑問も浮かぶことでしょう。この疑問については後ほど詳しく説明します。
Gitの意味
そもそもGitとは「Global Information Tracker(グローバルインフォメーショントラッカー)」の頭文字を取っていると言われています。つまり、Gitは包括的(Global)に変更履歴情報(Information)の追跡(Tracker)を行うツールという意味です。
ここで注目しておきたいのは「包括的」という言葉です。文章作成ソフトの変更履歴と違い、ただ単にバージョン履歴を保存するだけではない点です。
Gitは何に使われている?
Gitはファイルやコードのバージョン管理に使われます。バージョン管理システムとは、その名のとおりファイルやコードなどの変更(バージョン)を管理するシステムであり、チーム全体での調整、共有、コラボレーションを容易にします。
あるファイルを作成した後、時間が経つにつれ変更点が複雑になり、ファイルの本筋がどこにあるのかわかりにくくなることがあります。たとえば、ミーティングの議事録について考えてみましょう。議事録をプロジェクトチームに共有し、欠席者がその内容について質問コメントを残し、ある人が補足情報を足し、別の人が会議中生じた確認事項を追記し、また別のある人が補足情報の一部を削除する。このように複数の関係者が何度も編集することで各時点で実施された変更を正確に把握することは難しくなっていきます。
バージョン管理システムは、ファイルのすべての変更を追跡し、以前のバージョンに戻ってシームレスに共同作業できるようにする非常に便利なツールです。
Gitの機能とは
Gitを含むバージョン管理システムには、主に次の3つの機能があります。
- ファイル共有:チーム内でファイルを共有
- ファイル同期:変更点を同期
- ファイルバックアップ:変更点を保存
また、バージョン管理システムの種類には、次の2つがあります。
- 中央集中型管理システム:Subversion(SVN)、Concurrent Version System(CVS)
- 分散型管理システム:Git、Mercurial、Bazaar、Fossil
Gitの利点とは?
それでは、Gitのような分散型管理システムの利点は何でしょうか?それを理解するために、まず2つのバージョン管理システムの仕組みを説明します。
中央集中型バージョン管理システムの仕組み
中央集中型バージョン管理システム(CVCS)では、すべてのバージョンを1つのサーバーに格納します。プロジェクトメンバーはそのサーバーにアクセスしてファイルを更新します。ある人が更新を行っている場合、他の人はそのファイルで作業できません。基本的に作業はオンラインで行い、変更点はサーバーによってきちんと保存およびカタログ化されます。このシステムはいたってシンプルであり、変更を管理する方法が簡単であるため、チームの規模が小さい場合に有効です。しかし、編集作業自体が複雑になってしまうため、更新を行ったメンバー同士の衝突が起こる場合もあります。
分散型バージョン管理システムの仕組み
一方、Gitのような分散型バージョン管理システム(DVCS)の利点は、柔軟性の高さです。分散型では、ファイルをサーバーで一元管理するだけに終わりません。 各プロジェクトメンバーはプロジェクト履歴全体をローカルに保持して、オフラインで作業できます。その作業結果を確認後、サーバーにアップすると、サーバー上でバージョンの保存およびカタログ化が行われます。したがって、中央集中型バージョン管理システムよりも、多様なバージョンの分岐ができ、またバージョンのマージ(結合)も容易になります。
時代にフィットするGit
ハイブリッドやリモートなどさまざまな働き方が当たり前となった昨今、Gitのような分散型バージョン管理システムの柔軟性は、複数のプロジェクトを走らせたり織り交ぜたりするダイナミックなチームにとって不可欠な存在となっています。両者の違いを表で確認しましょう。
バージョン管理システム名 | 利点 |
---|---|
中央集中型(CVCS) | ・小・中規模なチーム向き ・作業は基本的にオンラインで行う ・すべてのバージョンを1つのサーバーに ・管理がシンプル |
分散型(DVCS) Gitほか | ・大規模のチームにも対応 ・プロジェクト履歴を各メンバーがローカルに保持 ・オフラインで作業できる ・より優れたアイディアが公平に取り入れられやすい ・柔軟性が高い ・バージョンの分岐やマージが簡単 |
Gitの何がすごい?
分散型バージョン管理システムの優れた点を説明してきましたが、Gitを使うメリットは、ずばり「開発業務の効率が上がること」です。プロジェクトメンバーが同時に作業でき、プログラムの共有を容易に行えるため、管理しやすいのです。また、開発過程で修正点やバグへの対処が必要となるのはよくあることですが、その際も管理されたバージョン履歴をたどって迅速に原因の特定ができます。そのため、迅速に対処できるのです。
組織がGitを使ってできること
ここで改めてGitを導入してできることを具体的に挙げてみます。
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新旧のバージョンを一元管理できる Gitを使うことで、ファイルの新旧を一元的に管理できます。変更をした際、いちいちファイル名に日時や「.V2」などの名前を付け、どのファイルが新しいのか見分けがつくようにする手間がなくなります。
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古いバージョンに簡単に戻ることができる 作業途中に「前のほうが良かった」と旧バージョンに戻りたくなっても、Gitを使っていれば簡単に古いバージョンにさかのぼることができます。
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ファイルや変更履歴をスムーズに共有できる 作業者同士で直接ファイルをやりとりする必要がないため、バージョンの混乱も反映までの時差も発生しません。
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チームでの共同開発を効率化できる Gitなら、チームは変更を簡単に追跡できるため、さまざまなバージョンの追跡やマージに時間を費やすことなく、目の前のタスクに集中できます。また、オフラインで作業してローカルに保存するため、中央集中型よりも速いスピードで作業できます。
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ノーコスト/ローコストで導入のお試しができる Gitは世界で最も広く使用されているバージョン管理システムであり、事実上の業界標準です。したがって多くの人気開発者ツールでサポートされており、無料で利用できるリソースも多数あります。
gitの用語と使い方の初心者向け解説
Gitの使い方と、どのような用語を使用するか、初心者が理解しやすいように表組にまとめてみました。
- 場所の名前
場所 | 定義 |
---|---|
リポジトリ | ファイルや変更履歴を保存しておくデータベース。リポジトリには2種類ある。 ローカルリポジトリ(ローカル上):ローカル環境で作業を行う際に使う。 リモートリポジトリ(ネットワーク上):他のユーザーとファイルや変更履歴を共有する際に使う。 |
インデックス | リポジトリ(保存場所)とワークツリー(作業場所)の間の中間領域。ローカルで作業したファイルをリポジトリに保存するには、インデックスにいったん置く必要がある。 |
ワークツリー | ユーザーが編集している作業中のディレクトリのこと。 |
- アクションとコマンド
アクション | 定義 | コマンド |
---|---|---|
クローン | リモートリポジトリのコミットを、ローカルリポジトリへ丸ごとコピーすること。 | git clone [リポジトリパス] |
コミット | リポジトリへファイルや変更履歴を登録することを指す。 | git commit [コミット名] |
プッシュ | 登録した変更(コミット)をローカルからリモートリポジトリへ反映させることを指す。 | git push |
ブランチ | 変更履歴を分岐することを指す。作成された分岐はブランチと呼ばれる。 | git branch |
マージ | 複数のブランチを一つにまとめること。 | git merge |
プル | リモートリポジトリのコミットをローカルリポジトリへと引っ張ってくることを指す。 | git pull |
フェッチ | リモートリポジトリからファイルの最新情報を取得してくること。プルとは違い、ローカルのファイルは更新されない。 | git fetch [リポジトリ] |
Gitの弱点は?
このように便利でさまざまな利点があるGitですが、弱点もあります。
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Gitの操作方法は非エンジニアにはなじみがない 「Gitがそんなに便利なら、なぜマネジメントやオペレーション側にあまり浸透していないのだろう」という疑問も生まれるでしょう。しかしGitをそのまま使う場合、基本的にCUIという文字によるコマンドの打ち込みでコンピューターと対話する操作手法が必要です。PCが不調でシステムをセーフモードで起動した経験はないでしょうか(文字列だけの暗い画面が立ち上がります)。あるいはエンジニアが暗い画面にコードを表示して作業している様子を想像してみましょう。普段コマンドやコードに縁がない人にとってはハードルが高い操作方法と言えます。
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Gitの学習には時間が必要 Gitを導入する際、プロジェクトチームは全員がGitを使えるようになる必要があります。用語も独特であり、また、各メンバーがローカルで作業するため、運用ルールを決めておかないと混乱する可能性があります。慣れるまでに学習時間が必要であるため、使用頻度がそこまで高くない場合、学習にかかる時間的コストの費用対効果が疑問視されることもあります。
Git管理はツールで手軽に
このようなGitの弱点を一挙に解決するのが、Gitにユーザーフレンドリーなインターフェイスを組み込んだ管理ツールです。管理ツールを使えば、コマンドを打ち込んで操作するのではなく、日常使っているアプリケーションのようにマウスでクリックして操作できるため、Gitの多数のメリットを組織にスムーズに取り入れられます。
Git管理ツールを導入すると次のようなメリットがあります。
- Gitを使うためにコマンドを覚える必要がない
- Gitを学習する時間が短縮できる
- エンジニア以外でもGitを使えるようになる
Git管理ツールにはさまざまな種類がありますが、開発スピードを確保しつつセキュリティも高めたい組織が選んでいるのは、GitLabです。
GitとGitLab。名前が似ているのは、GitLabがGitを使ったDevSecOpsプラットフォームサービスだからです。
GitLabはバージョン管理システムであるGitを中心に、開発(Dev)セキュリティ(Sec) オペレーション(Ops)のすべてをこなせるプラットフォームであり、アイコンやボタンなどのグラフィックを使用して視覚的に操作できるグラフィカルユーザーインターフェイスを採用しているため、Gitの弱点を克服できます。
当然、先ほど挙げたGit管理ツールのメリットを享受できますが、それだけではありません。計画から本番まで、DevSecOpsのあらゆる機能が1つのアプリケーションにまとまっているため、プロジェクトにかかわる各部署の連携が強化され、チームにまとまりが生まれます。
GitLabの「非エンジニアを含む各部門がGitを使用でき、情報を統一的に集約して管理しやすいツール」という面は、他にはない特徴です。
まとめると、GitLabには次のような特徴があります。
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ツールチェーンを簡素化できる
重要なDevSecOpsツールがすべて1つのプラットフォームに集約されています。
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ソフトウェアデリバリーを高速化できる
オートメーション、AIを活用したワークフローが提供されています。
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セキュリティを統合できる
セキュリティはデフォルトでビルトインされており、追加は不要です。
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どこにでもデプロイできる
複数のクラウドにコンピューティングを分散するマルチクラウドアプローチが行えます。
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Freeプランでノーコストでのお試し導入ができる
30日間の無料試用版をクレジットカードの登録なしで使用開始できます。
開発のスピード向上を計りたい+包括的なセキュリティ対策を重要視したいという組織に、GitLabは最適です。
まとめ
ここまで、組織のマネジメントやオペレーション部門などで働く非エンジニアや初心者向けに、Gitとは何か、おさえておくべき基礎知識、仕組み、用語をご紹介しました。Gitの概要を把握しておくことで、導入を検討する際の一助になれば幸いです。
これほど利便性が高いGitですが、開発(Dev)セキュリティ(Sec) オペレーション(Ops)プラットフォームであるGitLabの、ほんの一部の機能にすぎません。すべてをこなせるDevSecOpsプラットフォームの力強さに興味がある方は、ぜひ30日間無料トライアルでGitLabを体感してみてください。
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監修:川瀬 洋平 @ykawase
(GitLab合同会社 カスタマーサクセス本部 シニアカスタマーサクセスマネージャー)