ブログ AIと機械学習 GitLab Flow (フロー) と GitLab Duo (デュオ) を併用してワークフローを強化する
更新日:August 28, 2024
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GitLab Flow (フロー) と GitLab Duo (デュオ) を併用してワークフローを強化する

GitLab Flow に AI 搭載の GitLab Duo の能力を合わせ、DevSecOps ワークフローの効率をアップする方法をご紹介します。

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DevSecOps を始めるには、綿密に検討されたワークフローが必要ですが、時としてそれは厳しい挑戦のように感じられます。しかし、過度に心配する必要はありません。GitLab Flow と GitLab Duo の 2 つがワークフロー設計をサポートしてくれるからです。GitLab Flow は、DevSecOps プロセスを支障なく適用するのを支援するもので、手順がすでに規定されたアプローチです。GitLab Duo は、GitLab DevSecOps プラットフォーム内で提供されるパワフルな一連のAI 機能で、 組織におけるコード開発、運用の改善、ソフトウェアのセキュリティ強化をより効率的に行う手助けとなります。GitLab Flow と GitLab Duo を併用すると、組織ではエンドツーエンドのワークフロー効率を顕著に改善できます。それにより、生産性、デプロイの頻度、コード品質、総合的なセキュリティ、本番環境の耐久性と可用性に、さらなる向上が期待されます。この記事では、企業でうまくDevSecOps を運用するため、GitLab Flow と GitLab Duo の組み合わせがどのように役立つか、深く掘り下げていきます。

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GitLab Flow とは

GitLab Flow は、手順が規定されている、アプリケーションの開発ライフサイクルのためのエンドツーエンドのワークフローです。GitLab Flow はユーザーインタフェースとデータモデルをそれぞれ 1 つずつ備えている、AI 搭載の DevSecOps プラットフォーム、GitLab を使用します。GitLab Flow には、顧客からのフィードバックや、自社使用から得られた教訓など、ベストプラクティスや経験から学んだことが組み込まれています。さらに、GitLab Flow はDevSecOps ライフサイクルの全段階にまたがるもので、ある特定のアップデートのための内側のフィードバックループと、開発ライフサイクルのみならずアプリケーション全体を改善させていく外側のフィードバックループで構成される、効率的なワークフローです。

The GitLab Flow inner and outer loops

GitLab Flowの内側と外側のフィードバックループ

GitLab Flow には多くの段階がありますが、ご存知のようにソフトウェア開発にはコードを書くだけでは終わらないたくさんの作業があります。以下で、GitLab Flow の各ステップと、GitLab Duo の役割について詳しく説明します。

GitLab Flowでのプランニング

GitLab Flow の第一段階はプランニングです。プランニングは、GitLab Flow の外側のフィードバックループに配置されています。プランニング段階には、イシュー、マージリクエスト (MR)、エピック、マイルストーン、イテレーション、リリース、リリースエビデンスなど、さまざまなものが含まれます。これから、GitLab Flow でのこれらの各種要素の役割と、GitLab Duo がどのように役立つかについて説明します。

Planning - first portion of GitLab Flow

プランニング – GitLab Flow の第 1 部

イシュー

イシューは、コードの問題や新機能を定義するもので、かつチームメンバーが協力し合える場です。イシューが作成されたら、タイトルを追加し、GitLab Duoの「イシュー説明文の生成」機能を用いると、説明欄へ自動で記入してくれるので、時間と労力が節約できます。1つのイシューについてのコメントスレッドには数多くの関係者が参加できます。「イシューコメントのサマリー」は GitLab Duoの AI機能のひとつで、あるイシューに関する何百ものコメントを簡潔なひとつのパラグラフに要約できるので、関係者は迅速に会話の内容を把握でき、議論に参加し、生産的な活動にすぐに貢献できます。

イシューは、イシューボードで整理・視覚化できます。イシューボードはソフトウェアのプロジェクト管理ツールで、カンバンボードやスクラムボードとして利用できます。こういったボード類は、チームが機能や製品リリースのワークフローを計画、整理、視覚化するのに便利です。ボードのカテゴリは異なるものとして作成でき、イシューは簡単にドラッグアンドドロップで 1 つのリストから別のリストに移動させることができます。

マージリクエスト

マージリクエスト (MR) とは、解決策が開発される場を意味します。リリースを構成する要素として、イシューやマージリクエストは、DevOps やプラットフォームエンジニア、システム管理者やデータベース管理者、セキュリティエンジニア、そして開発者など、関係者により行われるアプリケーションの変更を、監査可能で追跡できる仕組みとして提供します。また、イシューやマージリクエストはリリースプランニングのプロセスに対する重要なインプットでもあります。

マージリクエストは個別に作成することも、イシュー上で作成することも可能です。イシュー上でマージリクエストを作成した場合には、作成したマージリクエストが自動的にそのイシューに関連付けられるため、マージリクエストがマージされると、関連付けられているイシューも自動的にクローズされます。マージリクエストは手動でイシューに関連付けることもできます。

Merged merge request will close issue

マージされたマージリクエストによりイシューがクローズされる

イシューと同様、マージリクエストには多くの関係者がアップデートを行なうフィーチャーのロングリストを含められます。GitLab Duo の「マージリクエスト変更の要約」機能を使うと、マージリクエストに含まれている更新内容のすべてを認識・理解する必要がある共同作業者は、変更点を素早く把握できます。

同じテーマを持つイシューはエピック内でグループ化でき、取り組むべき作業を整理できます。エピックには子イシューやサブエピックが設定でき、組織全体のエピックにリンクすることも可能です。イテレーションを使用すると作業のスプリントの追跡ができ、手動でスケジュール設定したり、イテレーションの反復を使って自動でスケジュール設定し、プランニングのワークフローを効率化したりできます。さらに、イテレーションにはバーンダウンチャートとバーンアップチャートがあります。バーンダウンチャートを使用するとプロジェクトの全スコープに対する進捗状況の全体を追跡できます。バーンアップチャートはイテレーションの期間内に追加した、または完了したイシューの日次合計数と重み付けを追跡します。

マイルストーン

チームでマイルストーンを使えば、イシューやマージリクエストに任意の開始日や完了期限を設定し、関連のある 1 つのグループとして整理できます。マイルストーンは通常リリースの追跡に使用しますが、プロジェクト単位またはグループ単位で、イシューやマージリクエストを追跡することもできます。イテレーションと同様、マイルストーンでもバーンダウンチャートとバーンアップチャートが利用でき、進捗状況が可視化されます。

マイルストーンはリリースに関連付けられます。リリースの自動作成からはリリースエビデンスを含む、多くのアーティファクトが生成されます。リリースエビデンスとはリリースに関連付けられている、自動収集されたデータのスナップショットです。テストアーティファクトやリンクされたマイルストーンに加えて、ジョブのアーティファクトもオプションとしてリリースエビデンスに含められるので、外部監査などの内部プロセスが容易になります。

エピック、マイルストーン、そしてイテレーションは、「ロードマップ」ページで可視化できます。このページを使うと、リリースの進捗状況が追跡でき、リリースプロセスが効率化できます。

プランニングに進むと、問題の解決や新機能に向けた作業が開始できます。これはマージリクエストで作業していきます。では、GitLab Flow でそのプロセスがどのように行われるのか、もう少し詳しく見てみましょう。

GitLab FlowとGitLab Duoを試してみる

マージリクエストとコードのプッシュ

Merge requests and pushing code - second portion of GitLab Flow

マージリクエストとコードのプッシュ – GitLab Flow の第 2 部

GitLab Flow の第 2 部は、マージリクエスト (MR) とコードのプッシュに関連したものです。前述のように、マージリクエストとは組織全体から参加する関係者の共同作業で、解決策が生み出される場です。この共同作業は分散された場所から、非同期で行うことも可能です。参加者は、タグ付け、インラインでの提案、インラインコメント、マージリクエストのコメント、レビュースレッド、レビューリクエストなど、コラボレーション機能を活用でき、コード品質、可用性、信頼性とパフォーマンスの改善につながります。マージリクエストを作成するとすぐ、GitLab Flow の内側フィードバックループがスタートします。ここでは、コードと修正点のプッシュ、テストとスキャンの実行が行われ、アップデートのレビューなど共同作業が発生します。

パイプライン

アップデートは、マージリクエストを通してフィーチャーブランチに適用されます。パイプラインが定義されていれば、自動的に実行されます。パイプラインには複数のステージやジョブが設定でき、ビルドやテストを行った後、アプリケーションやマイクロサービスをレビュー環境にデプロイします。そのレビュー環境では、アップデートはメインブランチにマージする前に動的に検証できます。この自動化は、アプリケーションのアップデートとレビュープロセスを効率良く行う手助けになります。

さらに、DevSecOps チームがマージリクエストを通じてアプリケーションのアップデートをする際は、さまざまなAI 搭載機能が活用できます。チームメンバーがコードを書いて更新するとき、GitLab Duo の「コードの提案」が次に書くべきコードを推奨してくれます。開発者はその提案を受け入れるか、無視するか選択できます。「コード提案」は、エラーを減らして開発者がより速くコードを書けるようにすることでプログラミング体験を向上させ、コード品質が改善します。「コード提案」はまた、開発者の生産性を高めるので、イテレーションやロールアウトの高速化にもつながります。

組織内で異なる関係者がアプリケーションの開発やレビューに参加する場合、ドキュメントが不十分だったり、複雑で難解なコード、あまり馴染みのないプログラミング言語で書かれたコードなどに出くわすことがあります。GitLab Duo の「コードの解説」機能は、コードを自然言語で説明してくれるので、誰もが理解でき、そのスピードを高められます。

さらに、フィーチャーブランチにアップデートがコミットされると、GitLab Duo の「推奨レビュアー」機能がマージリクエスト内の変更点とコントリビューションカレンダーグラフを使い、マージリクエストのサイドバー内のドロップダウンにプロジェクトに最適なレビュアーを提案してくれます。このリストにはアプリケーションのある特定の部分に詳しいユーザーが数人含まれ、そのアップデートのレビューの適任者が示されます。レビュー適任者をさがして特定する必要がありませんので、開発者の時間が節約でき、レビュープロセスを効率化し、遅延やレビューの品質低下を防ぎます。

開発者がコードに変更を加える場合、その具体的な変更点についてマージリクエストにコメントを書くことはあまりありません。GitLab Duo の「マージリクエスト変更の要約」機能を使うと、マージリクエストで変更を行ったコード作成者は、AI を使用して自然言語のコメントを生成することができます。このコメントは、コードへの更新内容を要約するものです。これによりレビュアーは変更内容をよりよく理解でき、レビュープロセス全体の効率化につながります。

レビュアーがマージリクエストでコード更新をレビューすると、レビューブロックが作成されます。このブロックには数多くのソースファイルにまたがる多数のコメントが含まれ、非常に長いので目を通すのが大変です。ここで、コード作成者がレビュー内容をしっかり理解できるように、GitLab Duo の「マージリクエストレビューの要約」機能を使うと、レビュアーのフィードバックが自然言語で生成されます。これによりコード作成者とレビュアーの間の引き継ぎがよりスムーズになり、レビュープロセスが効率化されます。

さらに、マージリクエストに開発者が新しいコードを追加する際は、GitLab Duo の「マージリクエストのテスト生成」機能を活用すれば、AI を使って新しいコード用のユニットテストを生成できます。そのため開発者の生産性は高まり、テストカバレッジが向上し、開発ライフサイクル内でのバグ検出が前倒しできます。

パイプラインはブランチの更新に対して実行されます。さらに、自動テストやスキャンをそこに組み込むことができます。それはセキュリティをシフトレフトすることにつながっていきます。

セキュリティのシフトレフト

Shifting security left - third portion of GitLab Flow

セキュリティをシフトレフトする – GitLab Flow の第 3 部

GitLab Flow の第 3 部は、セキュリティのシフトレフトです。これは GitLab Flow の内側フィードバックループの一部です。

DevOps やプラットフォームエンジニア、システム管理者やデータベース管理者、開発者、マージリクエストで共同作業している関係者の中には、セキュリティやコンプライアンスを危惧している人もいるかもしれません。そういった場合に、自動化テストやセキュリティスキャンが役立ちます。スキャンはすぐ利用可能なテンプレートを使って簡単にパイプラインに埋め込むことができ、マージリクエストのパイプラインから自動的に実行できます。GitLab では、幅広い組み込みのセキュリティスキャナとアナライザが利用できます。これらはGitLab Flow から利用できます。さらに、DevSecOps プラットフォームにはサードパーティのスキャナやカスタムスキャナも取り込めます。

ソフトウェア開発プロセスで不具合検出をできる限り早い段階で行ない、早期解決する目的で、GitLab Flow はパイプライン内でセキュリティをシフトレフトしました。開発サイクルの早い段階で脆弱性を修正する方が、アプリケーションが本番環境に入ってからの修正より、はるかに簡単でコストもあまりかかりません。本番環境での修正では、予定外の停止によりユーザーや収益に影響が及ぶ恐れもあります。

GitLab の組み込みのセキュリティスキャナおよびアナライザには、ユニットテスト、Infrastructure-as-Code (IaC) スキャン、静的アプリケーションセキュリティテスト (SAST) スキャナ、依存関係スキャナ、シークレット検出、コンテナスキャン、API セキュリティ、Web API ファズテスト、カバレッジガイド式ファズテストが含まれています。これに加えて、GitLab ではさまざまなセキュリティダッシュボードやレポートが利用できますので、脆弱性を管理・可視化できます。これには、依存関係リスト、セキュリティダッシュボード、脆弱性レポート、脆弱性ページなどが含まれます。

開発者およびセキュリティエンジニアの脆弱性への理解を深め、脆弱性への対処をより効率的に行うため、GitLab Duo の「脆弱性の説明」機能からは、ある特定の脆弱性についての説明が得られます。脆弱性がどのように悪用されうるのかが説明されるだけでなく、それをどう修正したらよいのか提案もしてくれます。この AI 搭載機能は、本番環境でのサイバー攻撃で悪用される可能性のある脆弱性を防ぐため、アプリケーションのセキュリティを強化するプロセスの最適化を助長します。

SAST スキャナのほかに、GitLab では動的アプリケーションセキュリティテスト (DAST) スキャナも提供しています。これには実行中のアプリケーションが必要です。このスキャナを活用すると、GitLab では DAST スキャン用に自動的に DAST 環境をプロビジョニングし、DASTテスト後はすべてのリソースを完全にクリーンアップしてくれます。これに加え、実行中のコンテナについては、GitLab では操作用のコンテナスキャンも使えます。このスキャンは、セキュリティの脆弱性をチェックするため、クラスタ内のコンテナイメージをスキャンします。

上記のスキャンは、マージリクエストのパイプライン内で自動実行できますが、場合によっては、スキャン実行ポリシーやスキャン結果ポリシーを使い、実行をスケジュール化することも可能です。こういったポリシーは、GitLab UI または YAML ファイルで定義可能で、別個のプロジェクト内で構成します。これにより再利用性、メンテナンスと管理の責任が分離できます。スキャン実行ポリシーでは、指定されたスケジュールまたはプロジェクトパイプラインと一緒にセキュリティスキャンを実行する必要があり、スキャン結果ポリシーはスキャン結果に基づいて対処します。セキュリティエンジニアや各種チームはこれらのポリシーを定義して、組織全体のセキュリティプロセスを強化できます。GitLab Flow はこういったステップもカバーしていますので、これらのポリシーを活用することができます。

組織内でセキュリティおよびコンプライアンスを強化する際は、コンプライアンスラベルやパイプラインを使用します。コンプライアンスラベルおよびパイプラインは、プロジェクト自体のパイプラインを実行する前に必須にすることも可能です。このアプローチでは、組織内のすべてのチームが確実に組織内のセキュリティとコンプライアンス基準に準拠していることが確認できます。さらに、開発中のアプリケーションをサイバー攻撃から守り、政府のコンプライアンス標準に準拠し、常に監査に備えられます。GitLab Flow で可能になる、これらすべてのセキュリティ指針の主な目標は、アプリケーションが本番環境に出ていった後ではなく、開発サイクルの早い段階で脆弱性を修正することにあります。本番環境で脆弱性の修復を行うことは、評判や収益面から非常に高価になるためです。

脆弱性はGitLab Flow の内側フィードバックループでそのリスクが軽減できます。フィーチャーブランチでアプリケーションにさらなるアップデートを適用したら、関係者はアップデートを再度レビューして、アップデートの適用を確認し、誤って逆戻りするようなアップデートが導入されないようにする必要があります。

継続的なレビュー

Reviews - fourth portion of GitLab Flow

レビュー – GitLab Flow の第 4 部

GitLab Flow の第 4 部はレビュー機能で、ここでアプリケーションの継続的なレビューを規定します。フィーチャーのレビューには、レビュー環境を立ち上げる機能が含まれます。ここでは、開発途中のアプリケーション (フィーチャーブランチ) がデプロイされるため、関係者はリアルタイムでレビューし、フィードバックを提供できます。開発途中のアプリケーションは、メインブランチにマージできるようになるまで継続的に調整を入れます。GitLab Flow では、マージリクエストがメインブランチにマージされる時点で、すべてのプロビジョニングされたレビュー環境リソースをクリーンアップすることも規定しています。

この反復的な自動化されたレビュープロセスは、GitLab Flow の内側フィードバックループの一部とされています。上述したとおり、内側フィードバックループ内では、「ソースコードの説明」、「推奨レビュアー」、「マージリクエスト変更の要約」、および「マージリクエストレビューの要約」などのGitLab Duo 機能はGitLab Flow によって規定されており、コード作成者とレビュアーの間の引き継ぎをよりスムーズに行ない、レビュープロセス全体を効率化することができます。

GitLab Flow の内側フィードバックループは、すべてのレビュー項目が解決され、マージリクエストが承認されてメインブランチにマージされると終了します。これがトリガーとなって、アプリケーションが本番環境にデプロイされます。

アプリケーションとインフラストラクチャのデプロイ

Deploying - fifth portion of GitLab Flow

デプロイ – GitLab Flow の第 5 部

組織のニーズに応じて、継続的デリバリーまたは継続的デプロイをGitLab Flow で規定します。継続的デリバリーはコードの頻繁なリリースで、その都度 (本番環境への) デプロイを手動でトリガーします。継続的デプロイは人間が関わることなく行われる、コードの (本番環境への) 自動リリースを意味します。では、継続的デリバリーを最初に見てみましょう。

継続的デリバリーでソフトウェアをリリースする際は、いくつかのデプロイオプションがあります。フリーズウィンドウ(作業を一時停止する期間)を設定し、カナリアロールアウト、ブルー・グリーンロールアウト、タイムドロールアウト、インクリメンタルロールアウトなどの、高度なデプロイ技術が利用できます。インクリメンタルロールアウトは本番環境でのシステムダウンのリスクが低減できるため、よりよいユーザーエクスペリエンスと顧客満足度が得られます。各種の高度なデプロイ技術を用いると、開発とデリバリーの効率が改善できるため、リリースプロセスが効率化されます。

継続的なデプロイでソフトウェアをリリースする際は、変更点やアップデートはすべて直接、本番環境に反映されます。フィーチャーフラグのような段階的なデリバリーアプローチを採用すると、特定のフィーチャーの提供をローンチから分離できるため、リスクを低減し、本番ユーザーに利用してもらえる機能性を管理できます。フィーチャーフラグは多くのプログラミング言語をサポートしているため、開発者は実験をしたり、管理環境下でのテストを可能にします。また、フィーチャーフラグを使うと、ある特定のユーザーだけにフィーチャーをロールアウトすることも可能になります。

GitLab はこうしたデプロイアプローチのすべてをサポートしていますが、GitLab Flow では、組織や特定のプロジェクトのニーズに特化したアプローチの採用が可能です。

アプリケーションの監視と DevSecOps のプロセス

アプリケーションを本番環境にデプロイしたら、安定性、パフォーマンス、可用性を保証するために継続的に監視する必要があります。また、DevSecOps プロセスが実行されると、それらが測定され、パフォーマンスと効率性を改善する機会が得られます。GitLab には監視機能があり、GitLab Flow でそれを活用できます。

実行中のコンテナに対しては、GitLab はオペレーショナルコンテナスキャン (OCS) を行ないます。OCS は、クラスタ内のコンテナイメージをスキャンすることにより、セキュリティ脆弱性をチェックします。こういったスキャンは、実行するタイミングをスケジューリングすることで自動化でき、また、検出された脆弱性をセキュリティダッシュボードに自動的に表示します。OCS はクラスタアプリケーションをセキュアに保ち、個人データの流出や予期せぬシステム停止につながるサイバー攻撃を未然に防ぎます。

エラーの追跡を行なえば、開発者は、開発しているアプリケーションで発生したエラーを検知したり、表示ができます。アプリケーション内で生成されたエラーはすべて、GitLab の「エラートラッキングリスト」に表示されます。エラートラッキングは、予期せぬアプリケーションの状態を迅速に見つけ出し、解決するので、アプリケーションの可用性とパフォーマンスをよりよいものにします。

GitLab は、Webhookレシーバー経由でPrometheus を含むあらゆる監視ソースからのアラートを受け取れます。アラートが受信されると「GitLab アラート」リストに表示され、ここから手動で管理できます。アラートは自動的にインシデントや ChatOps を生成するようにしたり、適切な個人やグループにメッセージを送るよう、トリガー設定できます。こういった機能はすべて、アラートの解決策および管理プロセスを効率化します。

本番環境で発生した問題のためにインシデントが作成されると、インシデント管理用に GitLab の「インシデントリスト」に表示されます。インシデントは 1 つまたは複数を一度に管理でき、ソートや、検索、割り当てを行なったり、ステータスを設定し、SLA プリセットカウントダウンタイマーを見ることもできます。さらに、インシデントを処理するために、オンコールのスケジュールやローテーション、エスカレーションポリシーを作成し、ページングや通知を設定することもできます。さらに、インシデントはアラートにリンクすることで、インシデントがクローズされるとそれに関連付けられていたアラートも自動的に解決されるよう設定可能です。インシデントのタイムラインは、役員や外部からの閲覧者がインシデント中に何が起きたのか、それを解決するためにどんな手順を踏んだのかを確認する機能です。こういった各種機能はすべて、インシデント管理プロセスを効率化し、インシデントを可能な限り迅速に解決するためのものです。

監査イベントは、GitLab で誰がいつ関連する対応を行なったのか、など重要なイベントを追跡します。監査イベントは GitLab の「監査イベント」リストに表示され、オブジェクトに対して実行したアクション、実行者、実行日時などが表示されます。

これまで説明した、すべてのリストとダッシュボードは、コンプライアンス違反の事前対策を手助けし、ペナルティを回避するだけでなく、監査プロセスを効率化するのにも役立ちます。実行中のアプリケーションから生成されたデータやメトリクスは、GitLab Flow の外側のフィードバックループで使用できます。このため、アプリケーションの改善と最適化が促され、予定外の本番環境でのシステム停止のリスクが低減されます。

継続的な改善

GitLab Flow を適用すると、GitLabが提供するエンドツーエンドのプロセスメトリクスのダッシュボードから知見が得られます。そのため、アプリケーションだけでなくソフトウェアのデリバリーパフォーマンスも継続的に改善できます。これらのダッシュボードとそのメトリクスは GitLab によって自動生成され、常時利用可能です。

アプリケーション開発のライフサイクルは「バリューストリーム分析ダッシュボード」を使い、追跡、監視できます。ここでは時間の経過によるプロジェクトやグループの統計が確認できます。このダッシュボードはカスタマイズできますが、GitLab が提供しているデフォルトのテンプレートを使って、バリューストリームを作成すれば、迅速に開始できます。デフォルトのダッシュボードには、事前定義されたバリューストリーム分析の各ステージのメトリクスが表示されます。メトリクスとは、イシュー、プラン、コード、テスト、レビュー、ステージングなどで、それぞれの完了までにかかる平均時間がグラフで表示されます。ここには、リードタイム、サイクルタイム、新規イシュー、コミット、デプロイなどバリューストリーム分析のキーメトリクスも表示されます。これらのメトリクスを利用すれば、バリューストリームの各ステージについて、改善可能な領域が見つかります。

パフォーマンスメトリクスでは、組織の開発およびデリバリーの有効性や効果を測定しますが、こういったメトリクス用に、GitLab は DORA (DevOps Research and Assessment) メトリクスダッシュボードを提供しています。ここには「デプロイ頻度」、「変更のリードタイム」、「サービス復旧時間」、「変更失敗率」の、4 つの主なメトリクス(Four Keys)が表示されます。「デプロイ頻度」は組織がどのくらいの頻度で本番環境にコードをデプロイするのか、またはそれをエンドユーザーにリリースするのかを測定します。「変更のリードタイム」は、コードをコミットした時点から、本番環境で実行されるまで、どれくらいの時間がかかるのかを測定します。「サービス復旧時間」は、インシデントが発生した場合に、どれくらいの時間でサービスをインシデント以前の状態に復旧できるのかを測定します。「変更失敗率」は、本番環境への変更またはユーザーにリリースされた変更のうち、サービス改悪につながったもの (たとえばサービス障害や停止につながった変更) で、その後、復旧が必要になった (ホットフィックス、ロールバック、パッチが必要になったなど) 変更の割合を示します。これらの 4 つの主要メトリクスは現在のプロセスを表すものであり、これを分析すれば、いろいろな要因や能力を改善できるでしょう。

もうひとつのダッシュボードは、カスタム化可能な「バリューストリームダッシュボード」で、意思決定者が、傾向、パターンやソフトウェア開発改善の機会を特定できるようにするものです。表示されるメトリクスは DORA メトリクスに続いて、バリューストリーム分析のフローメトリクスと直近 1 か月間、2 か月間、6 か月間の重大な脆弱性の件数です。

GitLab Duo は、継続的な改善への取り組みにも役立ちます。たとえば、「バリューストリーム予測」機能は、過去のデータを取り込んで、開発ライフサイクル全体のデータ傾向を使い、組織のバリューストリームメトリクスの今後の動向を予測します。こういった予測解析は、最適化の取り組みに活用できます。

これまで説明してきたすべてのダッシュボードや、そこで報告されるメトリクスは、GitLab Flow の外側フィードバックループを構成しており、予定外の本番環境でのシステム停止のリスクを低減し、アプリケーションと DevSecOps ワークフローを改善し、かつ最適化するのに役に立ちます。

GitLab Flow を使う理由

GitLab Flow は、手順が規定されたアプローチで、世界中のユーザーが実践しているもので、次のような利点があります。

  • GitLab Flow を活用することで、GitLab が提供する自動化機能や、単一ユーザーインターフェース、データモデルによって生産性が向上

  • 継続的な改善をサポートする、エンドツーエンドの DevSecOps ライフサイクルへの正確な洞察

  • アプリケーションと DevSecOps プロセスの最適化に役立つ組み込み型ダッシュボードとメトリクス

  • コード品質の向上、ならびにアプリケーションの信頼性・可用性の向上

  • 組み込みのセキュリティスキャナと各種機能によるアプリケーションセキュリティの向上

  • 組み込みのコンプライアンス機能によるコンプライアンスおよび監査への対応デプロイ頻度を高めるサイクル時間の短縮

  • GitLab Flow の内側フィードバックループによる継続的なレビュー

  • GitLab Flow の内側フィードバックループによる、アプリケーションのアップデートの最適化、コード品質向上、アプリケーションの信頼性と可用性の改善

  • GitLab Flow の外側フィードバックループによる、開発ライフサイクルそのものだけでなく、アプリケーションも改善

  • 組織内の関係者間での強力な共同体制の確立

  • セキュリティをシフトレフトすることにより、コードを本番環境に出す前に、アプリケーション内の脆弱性を見つけ、費用のかかる、予定外のシステム停止を回避

  • GitLab によりサポートされている高度なデプロイ技術やプログレッシブデリバリーアプローチにより、本番環境へのデプロイ時のリスクを低減

  • 開発ライフサイクル全体にわたり、生産性、コード品質、継続的改善、セキュリティやコンプライアンスなどを強化させるAI 搭載機能

  • クラウドネイティブと非クラウドネイティブのアプリケーションをサポート

  • ハイブリッド / マルチクラウドアプリケーション向けのマルチクラウドサポート

GitLab Flow はどう始めたらよいのでしょう。GitLab Flow の原則をお使いのアプリケーション開発ライフサイクルに適用してみたい場合、GitLab Auto DevOpsやその一部を活用することから始めるのが良いかもしれません。

GitLab Flow と Auto DevOps

Auto DevOps - an instantiation of GitLab Flow

Auto DevOps – GitLab Flow のインスタンス化

Auto DevOps は、GitLab Flow の全ステージやジョブに適用されます。つまり、Auto DevOps は GitLab Flow のインスタンス化の好例と考えるとよいでしょう。

Auto DevOps は事前定義済みの、すぐに使用可能な CI/CD テンプレートで、ソースコードを自動検出できます。ベストプラクティスに基づき、CI/CD テンプレートは自動的にアプリケーションを検出、ビルド、テスト、デプロイ、監視します。

Auto DevOpsパイプラインは、ソフトウェアデリバリープロセスで、早期段階で欠陥を発見し、予防する作業をシフトレフトします。次にAuto DevOps パイプラインはアプリケーションを検証するためステージング環境にデプロイし、その後、本番環境に段階的に、または、タイミングを合わせてデプロイします。

Auto DevOps は迅速に利用開始でき、開発者の生産性を向上できます。また、最も一般的なプログラミングフレームワークとプログラミング言語をサポートするので、ニーズに合わせて簡単にカスタマイズできます。Auto DevOps はモジュラーであり、カスタマイズができ、拡張可能です。そのため、パイプラインに Auto DevOps の一部を活用したり、アプリケーションにすべてを適用することもできます。

今すぐ始めてみましょう

GitLab Flow と GitLab Duo を組み合わせる と、エンドツーエンドのワークフロー効率が顕著に改善できます。それにより、生産性、デプロイ頻度、コード品質、セキュリティ全般、プロダクションの耐久性と可用性について、さらなる改善が実現できます。

GitLab Flow と GitLab Duo を併用するアプリケーションでのワークフローの確認や、メリットの確認には、次のビデオをご覧ください。

*監修:伊藤 俊廷 @toshitakaito (GitLab合同会社 ソリューションアーキテクト本部 スタッフソリューションアーキテクト)

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