ブログ DevSecOps AI活用の鍵はGitLabの一貫したコンテクスト 【Developers Summit 2025 イベントレポート】
公開:March 13, 2025
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AI活用の鍵はGitLabの一貫したコンテクスト 【Developers Summit 2025 イベントレポート】

2025年2月、GitLabは「Developers Summit 2025」に出展しました。本イベントにてシニアソリューションアーキテクト 佐々木直晴が講演をおこないましたので、本記事にてその模様をレポートします。

Developers Summit デブサミ

本講演のテーマは、ソフトウェア開発の現場が抱えているAI活用の課題とその解決策です。シニアソリューションアーキテクト佐々木直晴は「ソフトウェア開発の現場で、AI時代の新しいサイロが発生している」と考えています。本講演でその解決策として紹介しているのが、GitLabのAI機能群「GitLab Duo」です。

コードがどういう背景のもとで書かれたかといった情報までAIに与えるべき

組織全体でコンテクストを共有することができているGitLabだからこそ持てたコンセプト

デブサミ2025 Developers Summit 2025での講演の様子

本講演における最初のブロックにて佐々木は、コードが書かれた背景に関する情報までAIに与えることが大切なのでは、と語りかけました。

ソフトウェア開発の現場でAIを使う際は、断片的なエラーコードのみ渡してその理由を探らせるなどします。しかしAIの可能性を引き出すには、そのコードがどういう背景のもとで書かれ、なぜそう決まったかという情報まで与えるべきです。

デブサミ2025 GitLab合同会社 シニアソリューションアーキテクト 佐々木直晴

佐々木はGitLabのAI機能群「GitLab Duo」は、こういったコンセプトを持っていると話しました。そうして、このコンセプトは「我々の会社だからもてたもの」と言います。

GitLabはご存知のとおり、オフィスを持たずオールリモートの働き方を実践している企業です。オールリモートを実現するには、ドキュメントによるコミュニケーションが重要になります。

経緯や議論をドキュメントとして残し、「なぜそう決まったか」も含め組織全体でコンテクストを共有する必要があるのです。オールリモートではメンバー間の誤解が生まれないように、記録に残るコミュニケーション技術が必要になります。

そのうえで佐々木は「GitLab Duoのコンセプトは、コンテクストを組織全体で共有できているGitLabだからこそ持てたものと思っている」と話しました。

AI時代の新しいサイロが発生した

現在のソフトウェア開発において、AIの活用レベルは3段階に分類される

デブサミ2025 次のブロックで佐々木は、現在のソフトウェア開発現場におけるAI活用の課題について説明しました。

AIをソフトウェア開発に利用しているという会社は、2023年には64%だったところ、2024年には78%に上がっている* 状況です。今年の調査であれば、100%に近い数字になっていると想定されます。

このようにソフトウェア開発においてAIはデフォルトになっているものの、現場によって「段階がありレベル感が違う」と佐々木は話しました。活用レベルは大きく分けて3つにわけられ、各レベルで別々の課題が生じているのです。

デブサミ2025

まず、ソースコードの生成にAIを活用するのが、活用レベル1です。「ここはかなりコモディティ化している」と佐々木は話しました。

デブサミ2025

ソフトウェア開発の様々な局面で、AIを活用するのが活用レベル2です。たとえば以下のような利用があげられます。

  • 議論の内容をAIに要約させる
  • 会議の文字起こしをさせる
  • トラブルが起きたらAIにコードを渡して原因を解析させる

デブサミ2025 活用レベル3は、局面に応じて優れたLLMを採用して使い分けている状態です。たとえばチケット管理はこのLLMを利用し、ソースコードの推奨はこのLLMにさせるといった使い分けをします。

AIの活用レベルごとに異なる課題が生じている

佐々木は「我々はマーケットを見て、それぞれの活用レベルで課題があると思っている」と指摘しました。

デブサミ2025 「活用レベル1:ソースコードの生成にAIを活用」での課題は、AIが局所的な利用にとどまってしまっていることだと佐々木は指摘しました。

ソフトウェア開発のなかでも、ソースコードを記述している時間は21%に過ぎない* という調査結果があります。仕事場所がオフィスでも自宅でも、誰にも邪魔されず集中してコードを書ける日はなかなかありません。打ち合わせが入ったりメンバーのタスク管理をしたり、トラブルで呼び出されたりします。

ソースコードの記述にAIを使うこと自体はよいことです。しかしAI活用がソースコードの記述にとどまっているということは、AI活用が局所的な効率化に限定されているとも言えます。

デブサミ2025 「活用レベル2:ソフトウェア開発の様々な局面でAIを活用」は、AIをいろいろなシーンで使えていて一見素晴らしいように見えます。しかし、「いろいろなところに様々な機能のAIがあり過ぎて統一したいという意見が多い」と佐々木は指摘しました。

ソフトウェア開発にAIを使用する全世界の組織のうち、約74%は「ツールチェーンを統合したい」と答えたという調査結果があります。AIのライセンス費用や使い勝手の違いなどがあり、1つにまとめたいという課題が生じているのです。

デブサミ2025

「活用レベル3:各局面に応じて優れたLLMを採用」は、一見良い状態にみえます。チケット管理やコーディングなど、それぞれのシーンで優れたAIを利用できているためです。

しかし「それぞれのシーンで共有されたAIとのコンテクストが、コーディングのときに失われている」と佐々木は指摘しました。AIがそれぞれのツールに特化して閉じており、経緯や議論が個別のツールに取り残されてしまっているのです。

AI間でのコンテクスト共有が不十分なので、コーディング段階でAIがいろいろな推奨をしてくれるものの、その内容には違和感が生じます。佐々木は「これはAI時代の新たなサイロだと我々は定義している」と話しました。

GitLabだからこそ提案できる、AI利用の課題に対する解決策

GitLabにはソフトウェア開発用のプラットフォームとして必要な機能が一通りそろっている

前項で紹介したAI利用の課題に対して、GitLabが提案するのがGitLabにおけるAI機能群「GitLab Duo」です。GitLab Duoは「オールリモートでコンテクストを共有しながら会社運営をする我々だからこそできる提案」と、佐々木は強調しています。

デブサミ2025

GitLab Duoの紹介をする前に、「そもそもGitLabとは何か」について佐々木が説明しました。

GitLabではソフトウェア開発において、以下のような機能が必要と考えています。

チケット管理をする機能、チケット管理のなかで詳細な議論ができる機能 ソースコードリポジトリ機能 コミットしたら、自動的に何かをしてくれるCIの仕組み セキュリティスキャンなど

「これら機能をばらばらに提供するのでなく、ひとつのプラットフォームとして提供するのがGitLab製品のコンセプト」と佐々木は説明しました。GitLabはソフトウェア開発に必要な機能を集約したDevSecOpsプラットフォームです。

デブサミ2025

こうした製品コンセプトが評価され、2024 Gartner® Magic Quadrant™for DevOps Platformsにおいて、GitLabが高く(画像の一番右上)に評価されたことを、佐々木は紹介しました。

今までのAIはスポットで来てもらう助っ人、GitLab Duoは「勝手を知っているチームの一員」として働く

デブサミ2025

デブサミ2025

前項で紹介したように、ソフトウェア開発にはいろいろな機能が必要になります。GitLabのAI「GitLab Duo」は、それら機能においてAIが同じコンテクストをもってサポートすると佐々木は解説しました。

イシュー割り当てや議論要約、ソースコード生成、テストコードやテストケースの生成、また実装から詳細な説明用の資料を生成するなどの工程を、GitLab Duoは一貫してサポートします。GitLab Duoはインターネットだけでなく、自社内のAIのゲートウェイを向けることにより自社のネットワークから出ずにAIを使えるのも強いと佐々木は強調しました。

GitLab Duoを使えば、以下のような デブサミ2025 デブサミ2025 DevSecOpsのループ全ての局面にAIの力をまぶすことができます。

  • 計画・議論
  • ロードマップ・スケジュール構築
  • イシューの作成・アサイン
  • 開発・検証
  • デプロイ
  • パフォーマンスのモニタリングとカイゼン

佐々木は、「たとえて言うなら、今までのAIはスポットでちょっと来てもらう助っ人のようなものだった」と指摘しました。スポットの助っ人は、タスクの背景などは分かりません。限定的な情報のなかで、サポートをしなければならないのです。

たとえば断片的なエラーだけ渡され「これは何か」と聞かれても、AIは与えられた情報のなかで提案を返すしかありません。佐々木は「AIは本当ならもっとできるはず、というのが我々の思いだ」と強調しました。 デブサミ2025 一方GitLab Duoは、「勝手の知っているチームの一員として働く」と佐々木は指摘しています。GitLabを使えば、ソフトウェア開発におけるものづくりの全ての作業を同じプラットフォーム内で実行することが可能です。

GitLab Duoは、これらGitLabにおける活動を多く把握しています。たとえば、GitLab Duoは、ソースコードの内容を変更した背景や流れを理解しているわけです。そのため、そのソースコードをプッシュしてCIで失敗したら、GitLab Duoはより深く原因の分析をおこなえます。

またソフトウェア運用中に、深刻な脆弱性が見つかったとしましょう。このときGitLab Duoは「脆弱性に対応するには、リポジトリのこのファイルとこのファイルをこう直したらいいですよ」と提案してくれるのです。

このように局面をまたいだAIの使い方は、単一のデータストアがないとできないと佐々木は強調しました。リポジトリ・チケット管理・CI・セキュリティスキャンなどソフトウェア開発に必要な機能を、GitLabは全て有しています。

GitLab Duoは、GitLabのなかでこれら機能と同一プラットフォームに存在し、その全ての活動を把握しているわけです。それゆえに、スポットの助っ人でなくチームの一員として活躍することができます。

最後に佐々木は、GitLab Duoを使ったデモを紹介しました。

デブサミ2025 本デモでは、CIが失敗した理由をGitLab Duoに調べさせています。そうするとGitLab Duoは、エラーログだけからは推察することが難しい関数や引数の型を使った修正例を提案しました。本デモでGitLab Duoは、デプロイが失敗した原因を、ソースコードの変更内容まで鑑みて分析しているのです。

ChatGPTにエラーログだけを渡して解析させるように、AIをスポットの助っ人として使うやり方であれば、コンテクストは共有されません。そのため、この修正例は出ないのではないかと佐々木は強調しました。

GitLab Duoはトラブル発生時に、断片的なログから推奨を返すのでなく、過去の計画まで遡りなぜ失敗が起こったかというところまで助けてくれます。本講演の最後で佐々木は、開発者がより創造的な作業に集中できる環境を作りたいという思いでGitLabを提供させていただいていると語りました。

*参考元:GitLab「2024 グローバルDevSecOpsレポート」

会場で配布したお土産について

会場にて本講演のアンケートに答えて下さった参加者の方には、バレンタインデーのチョコとナノブロックをお渡ししました。このナノブロックは、GitLabのロゴがモチーフとなっています。かわいらしいこのロゴの形は、狸をイメージしていることはご存知でしたでしょうか?

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